ウクライナ、民主主義は建国以来の平等と「成り行き」背景に

7月19日の朝日新聞オピニオン欄、セルヒー・プロヒー米ハーバード大学ウクライナ研究所長へのインタビュー「民主主義は建国以来の平等と「成り行き」背景に」から。この発言に、納得します。多くの政策選択において、時には憲法体制の選択でも、長期間の慎重な議論を経て作り上げたのではなく、その場その場の成り行きで決まったことが多いのです。

――なぜロシアや他の国と違って、ウクライナは民主主義に進んだのでしょうか。
「その謎を解くには、歴史をさかのぼる必要があります。ウクライナの建国神話は、近世のコサックの存在抜きには考えられません。ウクライナ国歌でも『我らはコサックの一族だ』とうたわれるほどです。コサック社会は、平等と民主的手法に基づいていたと言い伝えられます。このような認識が、現代の民主的な社会を築く意識を支えたといえます」

「ウクライナは、ロシア帝国やハプスブルク帝国など外部の大国に分断された歴史を持ちます。地域によって発展の形式も度合いも異なり、他を制圧するほど力を誇る地域も存在しない。これらの多様な地域が集まって独立国としてやっていくには、民主的な政府が最も機能しやすかった、という面もあります」

「この状況は、18世紀建国時の米国と極めて似ています。全体を支配下に収めるほど有力な州がなく、結束を保つ手段として妥協と民主主義が使われたのです」

――つまり、ウクライナも米国も、市民が闘争の末に民主主義を勝ち取ったというより、民主主義が最も都合のいい手法だったと。
「いわば『成り行き民主主義』ですね。ただ、成り行きで成立した民主主義は、意図して選んだ民主主義よりも、しばしばうまくいきます。逆に、無理して民主主義を選んでもなかなか機能しない地方が、世界にはありますし」

省庁改革本部減量班同窓会25年

先日、省庁改革本部減量班の同窓会をしました。
2001年に実施された省庁改革の作業のために、私たちが事務局に集められたのは、1998年6月でした。今年は25年です。よく続いているものです。「20年の記事

ちょうどアフリカから一時帰国中の大使、イギリス勤務を終えて帰国した官僚、熊本や大阪勤務から帰ってきた人、すでに第二の職場にいる人などなど。都合がつかない人以外が集まりました。
皆さんそれぞれに歳を取っていますが、元気で活躍中です。

毎年変わる目玉政策

7月20日の日経新聞に、「予算特別枠、まるで猫の目」が載っていました。

・・・財務省は2024年度予算の概算要求で、賃上げや脱炭素といった「新しい資本主義」を推進する特別枠を設けて各府省庁から計4兆円超の要求を募る。政府は特定の施策に重点配分するため同様の手法を繰り返してきた。メリハリをつけやすいのは利点だが政権の看板政策の一貫性に欠ける弊害もつきまとう・・・
・・・看板政策を対象に裁量的経費の削減分以上の予算要求を認める手法は恒例となっている。概算要求基準で歳出総額の上限を示さなくなった14年度以降でみると、新型コロナウイルス感染症対策に追われた21年度予算を除くすべての年度で特別枠を設けた。10年間の累計で40兆円規模に及ぶ。

安倍晋三政権下では防災や地方創生、働き方改革や一億総活躍社会の実現、中小企業の生産性向上などが対象となった。菅義偉政権ではコロナ禍を踏まえたデジタル化や脱炭素を掲げた。岸田文雄政権では経済安全保障や少子化対策、防衛力の強化も加わった。
予算編成に政権の意向や技術革新が反映されるのは自然だが、重点施策は「猫の目」のように次々と変わる。重点分野が定まらず長期的な視野で経済成長を促す視点は乏しくなる。与党からは特別枠の対象を増やすよう求める声も強く、総花的になってもいる・・・

記事には、2014年度以降の主な重点政策が、表になって載っています。見てください。懐かしい政策(?)も並んでいます。社会の変化に対応するため、重点政策が変わることは悪いことではありません。しかし、中長期の重点政策、あるいは各政策を統合した政策体系を示して欲しいのです。この点は、連載「公共を創る」でも指摘しています。