新・3秒ルール

かつて海外旅行をする際に、添乗員から3秒ルールを教えてもらいました。空港のカウンターなどで荷物を足下に置くと、3秒以内に盗まれるという「法則」です。私は用心して、添乗員に教えてもらった心得を守っていますが、被害に遭った方を見ました。
日本国内は、お気楽で良いですよね。ズボンの後ろポケットに、財布やスマートフォンを突っ込んでいる人、通路でスマートフォンに夢中になっている人。海外なら、3秒ルールの餌食ですね。先日、海外から日本にスリの「出稼ぎ」に来ている人が捕まっていましたが、日本は仕事のしやすい稼ぎの場でしょう。

今日の話題の新・3秒ルールは、全く関係がありません。
朝や夕方にアサガオなどの鉢植えに水をやり、ツルを支柱にまきます。作業開始から3秒で、蚊に刺されるのです。
気づかない私が悪いのですが、作業に集中していると、あっという間に、腕などにおなかが膨らんだ蚊を見つけます。時には、4~5匹も。
叩き潰せたら、かたきを取った気になるのですが、逃げられると、かゆみが倍増します。
半ズボンに半袖シャツですから、敵の思うつぼです。キョーコさんは「必ず虫除けスプレーをしなきゃだめよ」と忠告してくれるのですが。

と書いたら、読者から「床に食べ物を落としても、3秒内に拾えば食べても大丈夫」が、世間では新・3秒ルールですよと、意見が来ました。

子どもに放課後の居場所を

7月25日の日経新聞、平岩国泰・放課後NPOアフタースクール代表理事の「子どもに放課後の居場所を 選べる場、自己肯定感増す」から。

諸外国に比べて低い日本の子どもや若者の自己肯定感をどう高めるか。特定NPO法人「放課後NPOアフタースクール」(東京)の平岩国泰代表理事は学校の取り組みには限界があり、放課後の居場所を充実すべきだと訴える。

小中高の学校現場は夏休みに入った。夏休み明けは子どもの自殺が多い。昨年は小中高生の自殺が年500人を超え、過去最多となった。主要7カ国(G7)で10代の死因の1位が「自殺」なのは日本だけである。
小中高生の自殺の4割は学校・学業起因とされる。若者の数が減る中で、自ら命を絶つ人が増えている現状は胸が苦しくなる。
この問題に関連して指摘されるのが日本人の若者の「自己肯定感」の低さだ。内閣府の国際比較調査(13〜29歳対象、2018年)によると「自分自身に満足している」と答えた人は45%しかおらず、最も高い米国の87%はもとより日本の次に低い韓国74%と比べても極めて差が大きい。

私が代表理事を務めるNPO法人は小学生の放課後を支える活動をしている。その柱が「アフタースクール」の運営だ。放課後の小学校で毎日開校し子どもはいつ、誰でも参加できる。
学校施設を広く活用しスポーツ、音楽、ものづくり、料理、遊びなど多彩な活動から選んで参加できる。地域や社会の大人が「市民先生」として共に活動してくれる。
全国の自治体との協働にも取り組み、兵庫県南あわじ市などアフタースクールを全市的に導入するケースも出てきた。

15年以上活動してきて強く実感するのは「放課後と子どもたちの幸せは相性が良い」ということだ。放課後に自己肯定感を高める子もとても多い。なぜか。キーワードを4つ挙げたい。
1つ目は「居場所」だ。内閣府の子供・若者白書(22年度版)によれば、居場所の数が増えるほど自己肯定感が上がっていくことが分かっている。
2つ目は「余白」だ。今の子どもは生活に余白がなく、生き急ぐように見える。都会では特にスケジュールに追われる子が多く、週末の習い事を含め週に7日予定がある子が少なくない。放課後の活動中に「次にどうしたらいいの?」と聞いてくる子や「どう過ごしたい?」と聞くと「わからない」という子も多い。子どもが試行錯誤する時間がないのだ。
3つ目が「伴走者」だ。自己肯定感は1人で自動的に育まれるものではなく、自分を受け止めてくれる存在があってこそ高まる。
子どもの支え手である親・先生はとても忙しい。そこで私たち市民の出番だ。アフタースクールの市民先生が子どもを支える姿をたくさん見てきた。市民先生は子どもに伴走的に寄り添い、ほかの子と比べない。
4つ目が「貢献感」だ。小学校を卒業する6年生が以前語ってくれた。「アフタースクールには低学年の子がいて自分が相談相手になれた。ここでなら私が役に立つと実感できて、私がいていい居場所があった」
同学年の教室では誰かに貢献できることは少ない。ゆえに異年齢の子がいる環境は重要だ。何かをしてもらうばかりが子どもではない。「自分も誰かに何かができる」ことに気づいた子が成長の一歩を踏み出す。

居場所・余白・伴走者・貢献感、4つのキーワードがまさにそろうのが「放課後」だ。だからこそ子どもたちの幸せと相性がよい。小学校低学年では学校は年1600時間、長期休みを含む放課後は日曜日を除いても年1600時間以上ある。放課後は長いのだ。

連載「公共を創る」第158回

連載「公共を創る 新たな行政の役割」の第158回「官僚の役割─行政改革の影響」が、発行されました。
前回から、「官僚の役割の再定義」に入っています。社会の変化と行政の役割の変化に従って、官僚の役割も変えなければなりません。それに遅れていることが、官僚への評価の低下や若手職員の不満を生み、さらには社会の停滞を招いています。

最初に、1980年代から行われた行政改革の影響を述べます。これらの行革は、財政再建や小さな政府を目指しただけでなく、行政の役割を見直すことまで広がりました。そしていくつかの分野を除いて、官僚たちは抵抗することなく、むしろ積極的に参画しました。

しかし、いくつかの点で、問題も生じています。例えば文書の扱いです。かつては、決裁を経た文書を「公文書」と扱っていましたが、その後、職務上作成した文書は「行政文書」として扱われることになりました。今年春の国会審議で、行政文書の正確性が争われることが起きました。行政文書はかつての公文書と異なり、正確さは担保できません。それを問われても、困るのです。
また、予算と人員の削減は、官僚たちの新しい政策に取り組む意欲を削ぐことになりました。

そして一番の問題は、政治主導への適応です。政治主導は望ましいことなのですが、あまりに多くのことを首相と官邸が抱え込み、各大臣や各省官僚との役割分担ができていないように見えます。
さらに、政治主導と言われながら、法案や予算案の了解を取るために官僚が国会議員に説明に行き、国会審議の際には遅くまで待機をさせられます。野党の公開勉強会で、厳しい追及に会うこともあります。政策を考え実行するという本来の業務に、十分な労力を割けないのです。

人工知能は労働者の競争相手ではない

7月20日の日経新聞経済教室、カール・フレイ、オックスフォード大学准教授の「低スキル労働者こそ恩恵 生成AIと経済社会」から。詳しくは原文をお読みください。

・・・これまで中流層が引き受けていた肉体労働の多くをロボットが肩代わりするようになったら、平凡な労働者は不要になるというのがここ数十年の通説だった。
一方で、高度なスキルを持つ専門職は、デジタル技術を活用して仕事の生産性を高めるだけでなく、インターネットを介してより広い市場に進出し、専門サービスを世界に輸出できるようになるとみられていた。だが生成人工知能(AI)の出現によりこの通説は覆され、平均的な労働者に復活の可能性が出てきた・・・

・・・AI導入に伴う労働市場の変化を理解するには、この技術が実際にどう働くかを詳しく見る必要がある。第1に知っておくべきは、AIが生成するコンテンツには、トレーニングに使われたデータの質がそっくり反映されることだ。つまりダメなデータを入れれば、ダメなものが出てくる・・・いわゆるビッグデータに依存すると、LLMのアウトプットはインターネット上で見られる平均的な質と同等になりがちで、卓越した質は期待できない・・・当面はLLM(大規模言語モデル)の制約は解決されず、平均的なコンテンツしか生成できない状況が常態化するだろう・・・

・・・この状況は将来の労働市場にとって何を意味するのだろうか。簡単に言うと、能力の低い労働者が大きな恩恵を受けることになる。現時点のAIのおかげで彼らは平均的な基準に到達できるようになったからだ。
例えば米マイクロソフト傘下のギットハブが提供する、ソフトウエアのコード作成を自動化するサービス「Copilot(コパイロット)」の出現でソフトウエア開発は様変わりし、作業時間が56%も短縮された。だがこの革命的な出来事で真に重要なのは、誰がその恩恵を受けたかということだ。意外にも最大の受益者はベテランではなく、作業効率が飛躍的に高まった未熟練の労働者だった。
オープンAIのChatGPTも文章作成の生産性向上に寄与するが、米マサチューセッツ工科大学(MIT)の調査によると、恩恵を特に受けるのは文章力の乏しい書き手だという。
カスタマーサービスもAIが大きな違いをもたらす分野の一つだ。エリック・ブリニョルフソン米スタンフォード大教授らの研究によると、平凡なタスク(業務)の自動化と支援の提供によりAIは生産性を14%押し上げたが、その最大のメリットを得たのは新人や低スキルの労働者だった・・・

・・・ただしこの変化が労働市場に破壊を引き起こさないとは言えない。米ウーバーテクノロジーズがタクシー業界に与えた衝撃が良い例だ。全地球測位システム(GPS)の登場で、かつてはタクシー運転手に必須だった都市部の道路事情に関する知識の重要性が薄れた。さらにウーバーの国際事業展開に伴い、平均的なドライバーに活路が開けた。
ウーバーは雇用機会を減らしてはいないが、競争を激化させて既存のタクシー運転手の収入を減らした。筆者の調査によると、ウーバーが新しく進出した都市ではタクシー運転手の1時間あたり収入が約10%減少している。生成AIは多くの職業で参入障壁を引き下げる役割を果たし、同様の効果をもたらすだろう・・・

セミ取り

先日、孫娘のお供をして、近くの公園にセミ取りに行きました。帽子をかぶり、虫取り網と水筒を持ち、虫除けの薬を塗って。東京の最高気温は36度でしたが、孫のためなら・・・。肝冷斎の野球観戦に比べれば、たいしたことはありません。

毎年行っているかいがあって、今年は孫も上手に取ることができるようになりました。網で捕まえたセミを、手でつかむこともできます。クマゼミとアブラゼミのようです。雄か雌かを鳴き声で確認して、すぐ逃がしてやります。手の届く高さにたくさん止まっていて、次々と捕まえることができます。(去年の日記
蚕糸の森公園は流れる川もあって、たくさん小さな子どもが来ています。孫が「上げるよ」とセミを差し出しても、まだ怖くて見るだけです。孫は、やや得意げ。

帰りに、かき氷を売っている店を見つけ、久しぶりにかき氷を食べました。
以上、孫と爺ちゃんの夏休みの日記です。