「オッカムの剃刀」

ジョンジョー・マクファデン著『世界はシンプルなほど正しい 「オッカムの剃刀」はいかに今日の科学をつくったか』(2023年、光文社)を読みました。大分前に読み終えたのですが、どのように紹介するのがよいか悩んでいるうちに、時間が経ちました。

出版社の宣伝には、次のようにあります。
「よりシンプルな答えこそ好ましく、往々にしてそれは正しい――複雑さや冗長さを容赦なく削ぎ落とすさまから「オッカムの剃刀」と呼ばれるこの思考の方針は、科学を宗教の支配から解放し、地動説、量子力学、DNAの発見など、多くの科学的偉業を支えることとなった。本書は科学の発展史を辿りつつ、単純さこそが、宇宙や生命の誕生といった深遠な謎を解き明かす鍵であることを示す壮大な試みである。そしてすべては、中世の果敢な神学者の冒険から始まる」

西洋科学史の概説書、それを「より簡単に説明する方向に進んだ」という視点から説明した本、といったら良いのでしょうか。重力による地上と天空の運動の統一、電磁力による磁気と電気の統一、遺伝子(二重らせん)による分子と生物学の統一など、なるほどと思いつつ。結果としてみると、オッカムの剃刀なのですが、それぞれの科学者はそれを意識していたかというと、そうでもなさそうです。

科学の進歩を認めつつ、最も簡単な説明は「神様が作られた」という説です。