朝日新聞夕刊「現場へ!」は、6月12日から「フレーフレー就活高校生」を連載していました「1学歴のバリア、打ち破ろう」。
・・・まずは「三和建設」。
大阪市淀川区に本社がある中堅ゼネコンである。創業は1947年、社員は165人。
工事部門のリーダー、参鍋(さんなべ)広志(43)は大阪生まれ。家は裕福ではなかったので、大学進学という選択肢はなかった。工業高校で建築を学び、先生のすすめで三和建設へ。
建築工事の現場は、朝が早かったり、夜が遅かったり。休み返上もざら。2年目のある日、参鍋は上司に告げた。
「会社やめます。この仕事、自分にあってません」
上司は言った。
「たかが2年で、この仕事の何が分かるんや。オモロいと思えることが、きっとある」
仕事をつづけてみた。工事計画をつくり、その通り完成させる達成感が、やみつきに。
ゼネコンの仕事が楽しくなってくると、参鍋には、新たなモチベーションが生まれた。
同期入社は12人。高卒は参鍋ら2人、あとは大卒。参鍋は出世、同期の大卒のほとんどは会社をやめていった。
参鍋が2年目に「やめたい」と告げた相手は、辻中敏(51)。彼も高卒、いまは専務、会社のナンバー2だ。
辻中の父が建築業を営んでいて、子どものころから現場に入り浸った。大手ゼネコンから監督としてやってくる若者が、父や職人たちに偉そうにしている。辻中少年は誓った。
〈いつか、あの場所に立つ。でも、偉そうにはしない〉
京都の工業高校へ。親も先生も大学進学をすすめた。「なりたい自分への早道は就職」と考えた辻中は、高校にすすめられた三和建設に入った。
いくつもの現場で監督をつとめた。もちろん、上から目線は排除、である。
そんな辻中の高校の後輩、冨川祐司(33)は、20代半ばから異例のスピードで現場監督をつとめる。冨川のモチベーションも、昇進して大卒同期を追い抜くこと。分からないことは辻中や参鍋たちに聞いては実践、を繰り返して今がある。
三和建設の役員と経営幹部、その4分の1が高卒である。学歴は関係なく、入社後の成長がすべてだ・・・
職業や職種によっては、学歴が関係ないものも多いです。そして、大学で学んだのが一般教養では、職業に役に立つことは少ないでしょう。