連載「公共を創る 新たな行政の役割」の第154回「社会像と行政手法の転換」が、発行されました。国家の役割と機能の見直しを迫る要因を説明しています。今回は、前提とする社会像や市民像が転換していることを説明しました。
西欧近代国家そして日本が前提とした「自由で自立した市民」は、理想であっても、現実ではありませんでした。自立できない市民を発見し、それへの支援を整備してきたのが、この200年の歴史です。そして、さらに「社会生活での自立が難しい人」が生まれてきたのです。人は自立しているのではなく、互いに依存して生きているのです。
それは、公私二元論にも修正を迫ります。
政府が取り組むべき課題が変わることで、手法も転換する必要があります。その一つは、実施の手法です。支援対象となる個人は、引きこもりのように役所の窓口には来ません。これまでのように、請求があって支給する方法は機能しません。
また、社会の意識を変える必要がある場合も多いです。それについても、経験は少ないです。