時事通信社「コメントライナー」への寄稿、第11回「「行政文書」は正確か」が、5月11日に配信され、16日にはiJAMPに転載されました。時事総研ホームページでも、しばらく見ることができるようです。
この3月に国会で、総務省の文書が正確かどうか、が議論になりました。「行政文書なのに、内容の正確性が争われることがあるのか」と疑問に思われた方もおられるでしょう。
私が鹿児島県文書課長を務めた約40年前には、現在の「行政文書」という言葉はありませんでした。職員が作った文書は、「公文書」といわれる保存を前提とした重要な文書と、それ以外の執務の過程で作ったメモなどに区分されていました。
「行政文書」という言葉は、1999年に制定された「情報公開法」で作られました。同法では、行政文書には、先に述べた公文書とそのほかの文書の両方が含まれることになりました。ここに、「革命」が起きました。
「公文書」は正確ですが、「そのほかの文書」はええ加減な物です。例えば幹部から電話で指示があったとします。メモを取とった場合に相手に確認を取ることができればよいですが、ほとんどの場合そんなことはしません。「今の話を文書にしました。これで間違いなければ確認の署名をください」と言うことは難しいです。上司には「アレをアレしておいてくれ」というような指示をする人もいます。
そのようなメモについて「正確ですか」と聞かれても、作成者は「私は正確だと思いますが・・」としか答えようがありません。