役所という組織にしろ、政治家や官僚という個人にせよ、1年間にあるいは在任中に何をしたかと振り返ることは重要です。そしてそれぞれに、成果を誇ります。私の履歴書など回顧録も、同様です。それはそれで勉強になるのですが、第三者から見て、何か物足りなさを感じます。なぜか?
それは、何をしたかは語られるのですが、何をしなかったかか、何が不足だったかが語られないからです。
個人の回顧録で言えば、「したこと」は書かれます。「したこと」であっても、都合の悪いことは書かれません。したこともしばしば美化され、記憶の間違いも起きます。
「したこと」で本人の知らないところで負の影響を与えていたことも、書かれません。周りの人が悪口を言っていても、本人は知らないので、書かれないでしょう。
するべきことと思っていながら「しなかったこと」も、書かれません。時に「あのときこうしておれば」という反省の言が語られることはありますが。
そして、周囲や後世から「やるべきだった」と考えられながら「しなかったこと」も書かれません。
組織にしろ個人にせよ、「したこと」とともに「しなかったこと」も書かれないと、正当な評価にならないでしょう。後者は、本人に期待できないとするなら、周囲の人がするべきことです。