「土地は公のもの」への一歩

2月15日の日経新聞オピニオン欄、斉藤徹弥・上級論説委員の「「土地は公のもの」漸進的改革を」が勉強になりました。

明治初めの地租改正が、近代日本の強い土地所有権をつくりました。日本の土地所有権は、何をしてもよい絶対的土地所有権といわれます。これに対して、厳しい建築規制で街並みを保つ欧州は、相対的土地所有権といわれます。日本でも、土地公有化論や私権制限を強める議論もありましたが、進みませんでした。

かつては、土地は重要な財産で、一坪の土地を巡って争いがありました。ところが、山林も田畑も富を生まなくなり、管理されない土地が増えています。弥生時代以来続いてきた「土地への執着」が、崩れつつあります。
日本には、土地を放っておく「自由」もあるのです。しかし、放置されたままの土地は地域に悪影響を及ぼします。自治体では、空き家対策や、危険な空き家を取り壊す取り組みも進んでいます。政府も、所有者不明土地問題で、公共の福祉を優先した所有権の抑制に乗り出します。相続登記を義務とし、国庫帰属制度を始めます。

なかなか進まなかった、「土地は公のもの」という認識が進むきっかけになるかもしれません。

春はもうすぐ

2月も下旬になりました。寒い日が続いています。
でも、ご近所のミモザは、鮮やかな黄色い花を咲かせています。梅の木も、つぼみが膨らんできました。
我が家の椿も、2輪咲きました。
「最近、見かけませんねえ」と話していたメジロも、やってきています。

ボランティアと現地を結ぶ活動

2月17日の朝日夕刊夕刊、兼子佳恵・特定非営利活動法人やっぺす元代表へのインタビュー「石巻は復興しましたか?」から。

東日本大震災を契機に復興団体を立ち上げた宮城県石巻市の兼子佳恵さん(51)。ボランティアと現地をつなぎ、住民同士が支え合う取り組みは全国的に注目され、組織や形を変えながら今も活動を続けている。

《数日後に電話がつながると、防災の専門家から連絡が入った。神戸市の田村太郎さんだった。阪神大震災を契機にボランティアや多文化共生の活動を始め、復興庁の復興推進参与になった人だ。東日本大震災の前に石巻で講演し、兼子さんと旧知の仲だった。兼子さんは田村さんたちと避難所を回り始めた。》
避難所には医療など様々なケアを必要とする人がいます。ボランティアと現地を結ぶ活動をしました。避難所や仮設住宅では、課題が次から次へと出てきます。田村さんたちは活動のノウハウを持っていますが、地元のことは知りません。私たちだからできることがあると知りました。
仮設住宅は知らない人の集まりです。一からコミュニティーをつくらないといけません。この時期、全国からたくさんのボランティアが来て、仮設住宅で支援物資を配り、炊き出しをしてくれました。でも知人がいるところや、人がたくさん集まる場所など偏りが生じていました。

ここで生きる人がつながる必要があると考え、2011年5月18日、私たちは「石巻復興支援ネットワーク」を設立しました。通称「やっぺす(現在は正式名称)」。石巻の方言で「いっしょにやろうよ」の意味です。ボランティアの受け入れ窓口となり、地元の方にも協力してもらってお茶会、絵手紙、カラオケ大会、フラワーアレンジメントなどの講座を開きました。仮設でも「ここに住んで良かった」と思ってほしかったのです。

「うその勤勉」やめ生産性上げよ

2月14日の日経新聞私見卓見は、「勤め人改革」アドバイザー・安田直裕氏の「「うその勤勉」やめ生産性上げよ」でした。

・・・日本人は勤勉な国民といわれ、頑張る姿は好感を持って評価される。また、他人の目を意識し、どうすれば自分に有利かを考えて行動する。「勤め人」は人事評価で好印象を得ようと勤勉さを競い合う。生産性を上げるための「本物の勤勉」であれば良いが、一生懸命働いているふりをしてしまう。
ムダな仕事を増やし、忙しく見せることに腐心する。残業をいとわず、有給休暇を取得せず、勤勉さをアピールする。例えば周囲が、特に上司が帰らなければ、進んで退社しない。目配せしながら時間調整して働くことは、非効率だ。まさに「うその勤勉」である。これではエンゲージメントは上がらず、生産性は改善しない・・・

・・・「勤め人」全体が、自分の評価を下げまいとムダな仕事をつくり、忙しく動き回っている。特に、部下を管理する上司自らが「うその勤勉」を実践していては始まらない。今の状況を早く変えなければならない。
日本の時間あたり労働生産性は悪化し、2021年は経済協力開発機構(OECD)加盟38カ国中27位である。主要7カ国(G7)中最低で、金額は米国の6割弱だ。このまま手をこまぬいていては、企業の生産性は改善しない。それどころか、日本の経済力は衰退の一途をたどる。罪を犯さないためにも「うその勤勉」はもうやめよう。同調圧力に屈しないで、率先して行動を変革する「最初の一人」になろう。部下を持つ管理者なら、なおさらである・・・