国内人権機関がない日本

2月1日の朝日新聞オピニオン欄「「人権」日本の現実」、土井香苗さん(ヒューマン・ライツ・ウォッチ〈HRW〉日本代表)の「政策推進、国家機関が必要」から。

・・・人権の制度面でも「失われた30年」だと考えています。世界の動きから遅れています。主な原因の一つが、国内人権機関の設立ができなかったこと。「なんでないの」と、声を大にして言いたい。
国内人権機関は、政府から独立して、人権侵害からの救済と人権保障を推進する国家機関です。世界約120カ国が国内人権機関を持っています。国連からも度々、日本政府は国内人権機関を設立するよう勧告されていますが、いまだに作られていません。

環境であれば環境省という役所があり、環境政策に責任を持っています。でも、日本には、総合的に人権政策を作る機関がないのです。その結果、世界各国の政府に多数いる「人権政策の専門家」と同等レベルの国家公務員は日本にほぼいません。これでは、日本の人権政策が場当たり的で、政府高官のリーダーシップに欠けるのは必然です・・・