朝日新聞が、1月27日から「わたしが日本を出た理由」を連載していました。
・・・海外に移住する人の流れが静かに増えています。失敗のリスクも承知のうえで、生まれ育った日本を離れた決断の背景には何があったのか。それぞれのストーリーを重ねていくと、日本の現在地が見えてきました・・・
として、日本での仕事を辞めて、海外に移住し仕事をしている人たちを紹介してます。
そこに見えるのは、海外が憧れと言うより、日本の職場の処遇の悪さです。給与が低い、勤務時間が長い、休みを取れない、周囲の目が厳しいなどなど。日本の職場の「欠点」が見えます。このような現実が広く知れ渡ると、日本型職場慣行がおかしいことや、経済力が低下していることが理解され、変わる一助になるのではないでしょうか。
福井県立大教授(人口学)・佐々井司さん
――海外永住者がコロナ下でも増え続けています。
このところ非常に強くなった、日本の閉塞感が背景にあるのでしょう。賃金や労働環境、社会の多様性などの面で、日本より欧米諸国に相対的な魅力を感じる人が多くなっているのではないでしょうか。閉塞感が解消しない限り、増加傾向は続くと思います。
――長期滞在者も含めて、いつごろから増え始めたのですか。
2000年ごろからです。日本経済の低迷や日系企業の海外進出が進むなか、日本国内での求人は抑制され、特に若い人たちが正規雇用につきにくくなりました。
――日本の人口減を抑えるため、海外から移民を積極的に受け入れる必要があるとの意見があります。
日本の賃金は上がらず、他の国の賃金は上がってきています。日本に来る外国人の数は減り、人材の質も変わるでしょう。日本人が生きづらさを感じているなかで、外国人の方々はいつまで働きに来てくれるでしょうか。「外国人に来てもらえば何とかなる」という楽観的なシナリオは、もう成り立たないと思います。