1月11日の日経新聞1面に「ファストリ、国内人件費15%増へ 年収最大4割上げ」が載っていました。記事に、外国比較が載っています。
・・・「ユニクロ」を運営するファーストリテイリングは3月から国内従業員の年収を最大4割引き上げる。パートやアルバイトの時給の引き上げも既に実施しており、国内の人件費は約15%増える見込み。ファストリは現在、欧米を中心に海外従業員のほうが年収が高い。国内で大幅に賃金を見直すことで、グローバルな水準に近づける狙いがある。国際的な人材獲得競争で劣後する日本企業の賃金制度に影響を与えそうだ。
ァストリ本社やユニクロなどで働く国内約8400人を対象に、年収を数%から約40%引き上げる。新入社員の初任給は月25万5千円から30万円に、入社1~2年目で就任することが多い新人店長は29万円から39万円になる・・・
・・・東京商工リサーチによると、上場企業3213社の21年度の平均年間給与は605万円で、そのうち900万円以上は110社にとどまる。ファストリの国内で働く従業員平均給与は959万円と国内小売業でも最高水準にある。ただ、国内の総合商社や外資系企業などに比べ見劣りは否めない。海外企業の賃金と比較しても低水準にある。
日本企業の賃金は国際的に低い。人材コンサルティングの米マーサーによると、マネジャー級の年収は22年7~9月期の平均レートの1ドル=135円で算出した場合、日本は22年12月時点で9万6374ドルで前年比10%減った。米国(21万9976ドル)に比べ約半分の水準で、中国に比べても低い・・・
1月13日の朝日新聞には「日本の社長、給料低すぎ?」が載っていました。
・・・日本の社長報酬は、米欧と比べるとかなり低い。
コンサルティングのHRガバナンス・リーダーズが、時価総額の大きい100社を対象に21年の実績を調べたところ、日本の社長の報酬(中央値)は1億8千万円だったのに対し、トップの米国は27億1千万円。日米の差は15倍と、前年の10倍から広がった。欧州は日米の中間で、ドイツで6億2千万円だった。
差を生んでいる要因の一つが、報酬の決め方の違いだ。日本は経営実績などに応じて変動する報酬が50%にとどまり、米国(94%)やドイツ(72%)より低い・・・
工作機械大手、DMG森精機の森雅彦社長の話が載っています。
・・・上場企業は年間報酬が1億円以上の役員の氏名と金額を公表しなければならないが、このルールをなくし、「多くても少なくても明らかにした方がいい」と言う。
公表されるのをいやがり、報酬を1億円未満にとどめる社長が少なくない、とみるからだ。かつての自身もそうだった。報酬を9千万円台に抑えていた時期がある。横並びを重んじる日本社会で、目立つのは得策ではなかった。
37歳の時に父親から会社を受け継いだオーナー経営者。当時は東証1部上場で最年少の社長だった。
2016年のドイツ企業との経営統合が転機となった。報酬が高いドイツ側の幹部から「自分だけ突出した額をもらうのは格好がつかない」として、日本側の役員の報酬も引き上げるよう求められたという。
森氏は17年度に初めて報酬を公表した。1億4800万円だった。21年度は2億9800万円を手にした。報酬を上げると、有能な外国人経営者を迎え入れやすくなった。部長職など幹部の給与も上げた。
「その人の責任やがんばりを、もっと報酬に反映した方がいい。メリハリのない公平性が、この30年間の日本経済の停滞を招いたのではないか」・・・