年別アーカイブ:2022年

事業成果の水増し?

2022年7月11日   岡本全勝

日経新聞連載「国費解剖」、6月25日は「スポーツ貢献実績を水増し 対象外も含め「1300万人恩恵」」でした。

・・・19年6月、日本の著名ミュージシャンがバングラデシュの難民キャンプを訪れ、サッカーボール126個を贈った。スポーツ庁と外務省による国際貢献事業「スポーツ・フォー・トゥモロー(SFT)」の一環だ。発表によると、12万人が恩恵を受けたという。
ボール1個を約1千人で使う計算だ。外務省人物交流室に根拠を問うと、寄贈直後に使用状況を聞き取り、数カ月間同じ頻度で使われた想定で、かけ算したという。つまり延べ人数の推計だ。実績の過大計上ではないか。同室は「可能な範囲で実態に即した実績把握に努めた」とするが、推計を検証していない。

東京に聖火が届くまでに、スポーツの喜びを100カ国・1千万人に届ける――。SFTは13年の国際オリンピック委員会(IOC)総会で当時の安倍晋三首相が掲げた国際公約で、スポーツを通じた国際協力や人材育成が柱。政府資料によると、事業で恩恵を受けた人数(受益者数)は19年に目標を前倒しで達成し、21年9月時点は1319万人。行政事業レビューシートでSFT向けと明記した予算は15~21年度の累計で80億円だった。

国は別予算をスポーツ貢献事業に充てたり、スポーツと無関係の事業の実績をSFTの実績に算入したりしている。国費の使い方や成果の測り方はずさんだ。日本経済新聞がSFT事務局を担った独立行政法人日本スポーツ振興センター(JSC)への情報公開請求で入手した資料を調べると、ボール寄贈のような受益者の過大計上とみられる事例が相次ぎ見つかった・・・

気配り破壊器

2022年7月10日   岡本全勝

変な人たち、地下鉄編」の続きにもなります。
混み合った車両に、無言で人を押しのけて乗ってくる人。その多くは、スマホを操作しながら、前の人に声をかけることなく、乗り込んできます。周囲の人に気配りができない人たちです。そんなに、スマホが重要なのですかね。それとも押し入る際に、ばつが悪くスマホを見ているのですかね。
周囲を見渡して、混雑した場所を避ける、通路を確保することはできませんか。混み合っているときは一声かける、「お願いします」とか。

私は、スマホを「猫背・近眼製造器」「脳力低下装置」「時間泥棒」と呼んでいますが、「周りが見えない人製造器」「気配り破壊器」という名称も加えましょう。
新技術は、悪いことも普及させます。「スマホ使用による脳の低下」「現代社会の時間泥棒」「テレビとスマホ、低俗?の程度」「スマホの副作用

SDGs、うさんくさい

2022年7月10日   岡本全勝

6月19日の朝日新聞オピニオン欄「SDGs、うさんくさい?」から。
・・・「持続可能な開発目標」と訳されるSDGs(エスディージーズ)。見聞きすることが増え、学校でも教えられています。ところが、目標が多岐にわたって分かりにくいうえ、我田引水も目立って、「うさんくさい」との指摘も出ています・・・として、アンケート結果が載っています。
「関係する記事や番組が増え、企業がこぞって貢献をうたうSDGsですが、なんだか「うさんくさい」と感じたことがありますか」という問に、281人中163人が「はい」と答えています。

斎藤幸平・東京大学大学院准教授の発言から
・・・アンケートで、SDGsの理念が薄められてしまっている、と危機感を抱いている人が多いことに驚きました。私がSDGsを「大衆のアヘン」と指摘したのは、マイバッグやマイボトルといった小手先の行動は資本主義が内包する根本的な問題から目をそらす役割をするのでは、と警鐘を鳴らすためだったからです・・・
・・・まず必要なのは、資本主義の過剰さを見つめ直すことです。年中無休や24時間営業、翌日配送、洋服や食べ物の大量生産と大量廃棄。終わりなき競争とそれに伴う環境負荷。こんなことを続けていて、私たちは幸せになるのでしょうか。科学技術の恩恵を「速く多く作る」ために使うのではなく、働く時間を減らして、趣味や社会貢献の時間、友人や家族と過ごす時間を増やすために向ける方がいいのではないでしょうか。
SDGsの危うさは、「金持ちの道楽」になりかねない点です。電気自動車を買えばいい、という話ではなく、そもそも車を買えない人もいる。一部の人たちの「頑張って良かった」で終わることのないよう、格差の問題に切り込む平等志向の社会ビジョンが必要です。世界的には、過去の植民地支配に起因する途上国の状況を改善しないといけません。
言葉はブームなのに、参院選の争点になっていないことも象徴的です・・・

私は、日本語に訳さず「SDGs」とそのまま使うことで、この言葉をうさんくさく思っています。多くの人に分かってもらい参加してもらうなら、中学生でも分かる言葉にしてください。「持続可能目標」ではいけないのですか。この点でも、「消費される言葉」と思えます。

追悼、安倍元総理

2022年7月9日   岡本全勝

安倍元総理が襲撃され、お亡くなりになりました。
治安の良い日本で、驚くことが起きました。白昼の公共の場でこのようなことが起きるとは。外国ではあっても、日本では起きないと考えていました。

安倍元総理には、私が麻生総理秘書官を勤めていたときや、安倍内閣で復興に携わっていたとき(復興庁、内閣官房参与・福島復興再生総局)に直接ご指導をいただきました。
東日本大震災復興については、官邸や現地で何度も話を聞いてもらい、方向性について了解をもらって事業を進めることができました。総理執務室に入ると、必ず「ご苦労さん」と言いながら、席に座ることを勧めてくださいました。私は、何が進んでいないか、どのようしたら進むかを説明しました。総理が忙しいことは秘書官を経験していて分かっていたので、できるだけ簡単な資料で説明しました。その度に「わかった、その方向でやってよ」との言葉をもらうことができました。与党の復興加速化本部からの提言を受けてもらい、前例のないことや官僚では決定できないことを、総理指示の形で出してもらいました。「安倍総理在任中の業績、震災復興」「安倍総理からのねぎらい

官僚は、総理にはうまく行っていることを説明するのが「通常」でしょう。私だって良い話をして、総理に喜んでもらいたいのですが。私の役割はうまく進んでいないか所を報告し、それを解決する方法と方向について了解を得て、関係機関を動かすことでした。官僚にとって、うまく行っていないことや嫌な話を聞いてくださる総理は、とてもありがたいものです。

1年に4回(福島2回、岩手、宮城)現地に入ることを、通例としてもらいました。合計43回です。復興が進んでいるか所とともに、進んでいないか所も見ていただきました。総理が現地に入ると、被災者や復興関係者はとても喜び、元気が出ました。
政権復帰直後に福島を視察された際に、政府の原発事故対応が不十分であること、関係機関がばらばらで全体の統一を取る仕組みがないことに気づかれ、「次官級を現地に置く」と指示されました。それが、後に私も勤めることになった福島復興再生総局事務局長の職です。

ある日の岩手県沿岸視察の帰り道、途中休憩の売店で私がソフトクリームを買おうとしていたら、「全勝さん、何買うの?」と声がかかりました。「総理、疲れた帰り道では、ここのソフトクリームおいしいんですわ」と答えると、「じゃあ、僕の分も買ってよ」とのこと。「了解です。しかし総理、この周囲にいるみんなも欲しがってますよ」と申し上げると、笑いながら「分かったよ」と財布を出してくださいました。とたんに、その周辺にいたたくさんの職員たちが、売り場の前に並びました。で、総理と私の分だけでなく、たくさんの人数分の代金を払ってもらいました。みんな「総理にソフトクリームをおごってもらった」と大喜びしました。
ご冥福をお祈りします。

低賃金の日本

2022年7月9日   岡本全勝

6月28日の朝日新聞は「日本経済の現在値」で、「世界と比べ下落33位、ビッグマック価格」を伝えていました。
・・・英経済誌「エコノミスト」の調査によれば、今年1月時点の日本のビッグマックの価格は390円で、57カ国中33位。10年前の320円と比べて21%高くなったが、タイや中国はそれを上回り、各64%、58%(各国通貨建て)も上昇。2000年に5位だった日本の順位は下がる傾向にある。ビッグマックの価格は各国の物価や購買力を測る参考値にすぎないものの、日本の物価水準がどんどん下がっていることは間違いなさそうだ。
なぜ、世界との違いが出たのか。1990年代初頭にバブルが崩壊した後、日本の経済が「日本病」と呼ばれるほどの長期停滞に陥ったためだ。消費の低迷で企業が商品やサービスの価格を上げられず、働き手の賃金も上がらないことで、さらに消費が停滞する悪循環に陥った・・・

記事には、国別の価格と、日本の2000年(当時は5位)からの順位が、図表になって載っています。「このような国にも抜かれたのか」と思います。しかし、これが事実です。

6月30日の日経新聞は、「韓国の最低賃金5%増 時給約1000円、日本の大都市並み」を伝えていました。
・・・韓国の2023年の最低賃金が22年比5.0%増の9620ウォン(約1010円、時給ベース)に決まった。伸び率は前年水準を維持し、10年前と比べて98%増となった。韓国の最低賃金は全国一律で、円換算では東京都(1041円)や大阪府(992円)など日本の大都市圏水準となる・・・