事業成果の水増し?

日経新聞連載「国費解剖」、6月25日は「スポーツ貢献実績を水増し 対象外も含め「1300万人恩恵」」でした。

・・・19年6月、日本の著名ミュージシャンがバングラデシュの難民キャンプを訪れ、サッカーボール126個を贈った。スポーツ庁と外務省による国際貢献事業「スポーツ・フォー・トゥモロー(SFT)」の一環だ。発表によると、12万人が恩恵を受けたという。
ボール1個を約1千人で使う計算だ。外務省人物交流室に根拠を問うと、寄贈直後に使用状況を聞き取り、数カ月間同じ頻度で使われた想定で、かけ算したという。つまり延べ人数の推計だ。実績の過大計上ではないか。同室は「可能な範囲で実態に即した実績把握に努めた」とするが、推計を検証していない。

東京に聖火が届くまでに、スポーツの喜びを100カ国・1千万人に届ける――。SFTは13年の国際オリンピック委員会(IOC)総会で当時の安倍晋三首相が掲げた国際公約で、スポーツを通じた国際協力や人材育成が柱。政府資料によると、事業で恩恵を受けた人数(受益者数)は19年に目標を前倒しで達成し、21年9月時点は1319万人。行政事業レビューシートでSFT向けと明記した予算は15~21年度の累計で80億円だった。

国は別予算をスポーツ貢献事業に充てたり、スポーツと無関係の事業の実績をSFTの実績に算入したりしている。国費の使い方や成果の測り方はずさんだ。日本経済新聞がSFT事務局を担った独立行政法人日本スポーツ振興センター(JSC)への情報公開請求で入手した資料を調べると、ボール寄贈のような受益者の過大計上とみられる事例が相次ぎ見つかった・・・