年別アーカイブ:2022年

アメリカの文化戦争

2022年11月15日   岡本全勝

11月3日の朝日新聞オピニオン欄、ジェームズ・ハンター、アメリカ・バージニア大学教授の「文化戦争、懸念される暴力」から。

米国では「文化戦争」が長く続いてきました。代表例は人工妊娠中絶への賛否でしょう。時代とともにテーマは変わります。同性愛の権利や性的少数者の権利も長く争われてきました。最近では新型コロナ対策と、争点は無限にある。ただ根源には、米国民の世界観の対立があります。
何が善い人生で、何が善い生活なのか。米国は一つの国でありながら、文化が異なる二つの太陽系に住んでいるようなものなのです。

もともとは宗教派と非宗教派の争いでした。しかし、2008年のリーマン・ショックを経て、「階級間の文化戦争」に発展してきた経緯があります。高学歴で非宗教的なエリート層(進歩派)と、高学歴ではない中流階級や労働者階級の人々(保守派)との対立が現在の姿です。
この力学を利用したのがトランプ前大統領でした。16年の大統領選で、民主党のヒラリー・クリントン候補がトランプ支持者を「みじめな人々」と呼んだように、保守派は進歩的な人たちに見下されていると感じていた。そこにトランプ氏が現れたのです。

我々が実施した調査によれば、保守派も進歩派も、互いに相手が「存在しなくなればいい」とまで願っている。1990年代には見られなかった現象です。過去と異なり宗教色はかなり薄まり、むしろ、自分たちの「生き方」が危機に直面しているとの感覚が強まっている。だから文化戦争は激化しているのです。
物事は多面的であり、核となる合意がなければ社会は成り立ちません。連帯がなければ、一方が強制的に押しつけられる状況になる。それがいま起きていることなのです。

慶応ビジネススクールで講義2

2022年11月15日   岡本全勝

11月11日に行った「慶応ビジネススクールで講義」の写真です。学校から送ってもらったので、記録として載せておきます。学生は、約半数が出席、半数がオンライン出席です。
追記、質疑応答の時間やその後の個別の話で、参加者の会社が大震災の際にさまざまな支援をしてくださったことが話題に出ました。あらためて、お礼を言います。

講演の準備4

2022年11月14日   岡本全勝

講演の準備3」の続きです。これも準備でなく、本番の注意点です。
良くない講演の一つに、早口があります。何を言っているか聞き取れない場合です。
私は早口の方です。ゆっくり話せばよいのでしょうが、関西漫才のようにテンポの良さも、一つの売りです。早口でも、聞き取りやすい話し方があります。一つの文章と次の文章の間に息継ぎを入れると、早くても聞き取りやすいのです。

私が骨子を使うのは、そのためもあります。「これから、骨子の3を話します」「今、骨子の3(2)を話しています」というように、何を話すか、何を話しているかを示すのです。これで、聞いている方は理解がしやすいと思います。
もちろん、基本はゆっくりと話すこと。主語と述語をはっきりすること。一つの文章を短くすることです。「ユーチューブの字幕

声の大きさや通りやすい声も、聞き取りやすいかどうかに関わります。私は声が大きいので、マイク無しでも大丈夫。
滑舌の良さも、重要です。なので、マスクをしての話は嫌いです。

フランスの宗教対策

2022年11月14日   岡本全勝

11月1日の朝日新聞、大石眞・京都大学名誉教授、宗教法学会理事長の「カルト対策、一過性で終わらせず 先進国・フランスに学ぶこと」から。

――フランスでは2001年に同法(セクト規制法)が制定されました。
「私は、今のフランス社会と宗教との関係の特徴は、法整備にあるのではなく、情報の発信のしかたにあると感じています」
「1990年代から政府にセクト対策の監視団が設けられ、現在は02年に首相直轄の機関として設置された『関係省庁セクト逸脱行動に対する警戒・対策本部(ミビリュード)』があります。この機関は、『人権・基本的自由を侵害するか、公共の秩序の脅威となり、または法令に違反する活動』を行う団体の監視や分析、情報発信などの任務を担い、被害者本人からの相談も受け付けています」
「03年に年次報告書を出して以降、随時情報を更新しており、セクト的な性格を持つ活動に関する相談事例は年々増えていることがわかります。被害にあった当事者からだけではなく、学校や自治体などで被害者と接点がある公務員など第三者からも本部に通報が寄せられており、セクト的な逸脱行動への危機感が社会的に認識され、相談機関の存在が周知されている様子も伝わってきます」

――被害の相談を受けるだけではなく、積極的な注意喚起もしているのですか。
「未成年者向け、公務員向け、若者向けなど、それぞれ対象を想定して注意喚起を行うガイドブックなども出しています。宗教との向き合い方を多くの人が考えられるという意味でも、政府も関わって継続的に情報を収集し、発信する仕組みが整っている意義は大きいと思います」

――フランスには、宗教団体など問題がある団体を解散させる制度があります。
「対象となるのは、刑法・公衆衛生法・消費法で定められた特定の罪に該当する行為をしたことによって、『心理的・身体的な隷属』をもたらす団体に限られています。特定の団体そのものが悪いのかどうかということではなく、その団体が取っている行動について、法を逸脱する行為があったときには取り締まるようにする。団体の教義や特殊性に着目して判断するのではなく、個別の行為に着目するべきなのです」

――宗教団体による反社会的な活動は、過去にも問題となったことがありました。
「日本のマスメディアも行政も、この課題を一過性のものとして捉えてはいけない、と指摘したいと思います。国会も、同じです」
「フランス議会の下院では、これまで3度にわたって調査特別委員会が設けられ、そのたびに報告書が公にされてきました。日本では、継続的な注意喚起や情報収集、公開といった活動が足りていないのです」

講演の準備3

2022年11月13日   岡本全勝

講演の準備2」の続きです。準備と言うより、講演の難しさです。
聴衆に理解してもらえる話し方と板書の仕方は、若くして自治大学校教授になったときに部長教授に指導され、先輩の授業を見たり本を読んで勉強しました。これは役に立ちました。自己流ではダメだと気がつきました。

聴衆と視線を合わせることが、一つのコツです。
話している際に、「どれくらい理解されているか」を測るために、聴衆の目を見ながら話します。全員を見るわけには生きませんが、会場全員の目と顔をしばしば見渡し、食いつきの良さそうな人を重点に見ます。笑って欲しいところで笑ってもらえると、うれしくなります。
全員に簡単な質問をして手を挙げてもらい、参加意識を高める場合もあります。個別に難しい質問をすると嫌われます。注意を引くために、重要なことを骨子や資料に書かず、白板に書くこともします。眠そうな人も、起きて書き取ってくれることもあります。

研修には、意欲のある人ばかりが参加しているわけではありません。そうでない人の方も多いでしょう。眠そうな人や参加意欲の低い人に、どのようにしたら話を聞いてもらえるか。全力を込めて努力します。
そのためにも、私自身の「電圧」を上げる必要があります。なので、立ったままで話します。

私は、講演は聴衆との対話だと考えています。独りよがりの話をするのではなく、聴衆の反応を見て話の内容に自信を持ったり、反省したりします。
聴衆がいない録画は嫌いです。聴衆は、録画をみる方が寝やすいでしょうが(苦笑)。
どうしてもという場合は、目の前に何人かの人に座ってもらいます。落語家や漫才師は、無観客で演じることができるのでしょうか。