年別アーカイブ:2022年

通学と通勤の思い出

2022年1月27日   岡本全勝

電車通勤」の続きにもなります。1時間半あまりの通勤は、私の毎日の通勤としては一番長い時間なのですが、高校時代はもっとかかりました。

高校は、奈良市にある奈良女子大学附属高校に通いました。
家のある明日香村大字岡から、バスで近鉄橿原神宮前駅まで行きます。家からバス停までは100メートルあまりなので、近くです。バスの本数は通学通勤時間帯は、1時間に2本以上ありました。飛鳥の宮跡や古墳の横を通って、橿原神宮前駅まで15分です。

近鉄橿原線で、大和西大寺駅まで30分(急行)から45分くらい(各停)かかります。1時間にそれぞれ2本ずつ、朝はもっと多くの本数があったでしょうか。大和盆地を北上し、郡山城や薬師寺の横を通ります。西大寺駅で近鉄奈良線に乗り換えて、平城宮跡を横切り、近鉄奈良駅まで約5分です。
奈良駅で、市内循環バスに乗り換えます。町の南、紀寺にある学校まで、興福寺や東大寺の前を通って約10分ほど。(帰りはバスに乗らず、奈良公園や奈良町の中を歩いて帰りました。ぜいたくな散歩です。)

家から学校まで、バス、電車、電車、バスを乗り継ぎます。待ち時間を入れると、最短でも1時間半かかりました。学生の中でも、最も遠いところから通っていた一人でしょう。
白状すると、朝起きるのが苦手で、しばしば父が車で駅まで、時には学校まで送ってくれました。朝6時のバスは、当時はつらかったです。早朝に目が覚める今から思うと、別人です。学校からの帰りについては、次回に

何かわからない英略語

2022年1月27日   岡本全勝

1月22日の日経新聞別刷りプラス1は、「英略語 知らずに使っている?」でした。
・・・URLやIoT、SDGs…。よく耳にするけれど何の略か分からない英略語は意外と多い。
ニュースや日常生活で聞く英略語のクイズを1000人超の日経プラス1読者に出題。正答率が低かったものから順にランキングした・・・
で、並んでいるのは、次のような言葉です。
PFI、URL、PR、ICU、IR、PDF、IoT、CC、BMI、NPO、5G、IT、SDGs・・・

あなたは、どれくらい分かりましたか。日経新聞読者でこの調査に参加した人は、このような知識の高い人と思われますが、PFIで30%、NPOで66%です。
記事には、漢字の略も取り上げています。国連(国際連合)、公取(公正取引委員会)です。漢字の略なら、元の言葉を類推できます。UNでは、元の言葉は類推できません。

私のカタカナ語嫌いについては、次をご覧ください。「頭は類推する。カタカナ語批判。3

数学者の孤独

2022年1月26日   岡本全勝

加藤 文元ほか著「人と数学のあいだ 」(2021年、トランスビュー)に、次のような話が載っています。90ページ「作家の孤独」以下。

数学者は難しい問題を、多くの場合一人で解きます。孤独な作業です。他方で、それを他人に理解してもらわなければなりません。証明を説明しなければならないのです。そして、それを理解できる人が必要です。文中では、共鳴箱と表現されています。
それは、結論を得る過程でも必要なことでしょう。間違いを指摘してくれたり、違った角度から意見をくれたり。
孤高の天才で終わっては、社会に認められません。分かってくれる人がいないと、大きな仕事はできないのです。

アメリカ白人男性の絶望

2022年1月26日   岡本全勝

1月23日の読売新聞1面コラム「地球を読む」は、猪木武徳・大阪大学名誉教授の「社会・経済分析 「思い込み」に染まる危険」でした。

・・・ノーベル経済学賞受賞のディートン氏と、妻で著名な医療経済学者のケース氏は、米社会の一断面を次のように捉える。非ヒスパニック系の中年白人男性の死亡率が近年目立って上昇しており、死因で増加率が高いのは自殺、薬物の過剰摂取、アルコール性肝疾患の三つである。著者らはこうした死に方を「絶望死(deaths of despair)」と呼ぶ。国勢調査と死亡証明書のデータを分析して、こうした絶望死の割合が顕著に増加しているのは低学歴層であることを明らかにしたのだ。

2人の論考は多くの研究者の注目を集めている。感心するのは、彼らのその後の研究で、米国の政治風土の底流にある大きな変化と結びつけて論じていることだ。昨年秋に2人が発表した論文では、2016年大統領選でなぜトランプ氏が勝利したかが次のように分析されている。
1970年代から21世紀に入るまでは、死亡率の低い(より健康な)州ほど共和党に投票する人が多かった。しかし2016年と20年の大統領選挙では「不健康な」州ほど共和党のトランプ氏に票が集まり、反民主党の傾向が強かったことが統計に表れている。
この事実は何を物語っているのか。かつては白人労働者の権利を守ってくれた民主党が、今や組織率の低下した労働組合に完全に背を向け、人種的少数派や高学歴層とタッグを組む政党となったことへの強い抵抗の意思表示なのだ。この構図は、日本でなぜ野党支持が伸びないのかを理解するうえでもヒントになる・・・

復興政策の検証

2022年1月25日   岡本全勝

読売新聞「記録誌作成へ」に載りました」の続きです。役所が自らの実績を評価することは良いことだと思います。

失敗をしでかしたときは、内部または外部の人を入れて、原因究明と再発防止のための検証委員会がつくられます。最近では国土交通省の統計書き換え事件です。
他方で、各省が出す白書には、政策とその成果が書かれます。これは、毎年という期間です。また、各省の局が持っている機関誌や関係業界の雑誌には、新年号に局長などが前年の振り返りと新年の取り組みを書くことが多いです。

ところが、5年や10年という期間で、その省や局の成果を振り返ることは、あまりされていないようです。多くの組織では「10年史」「20年史」が作られます。役所でもかつてはありました。しかし最近は見ません。5年とか10年は、適当な時間だと思います。それより長くなると、関係者もいなくなり、記憶も薄くなってしまいます。

評価をするためには、物差しが必要です。そして、成果を測る必要があります。白書に載っている数値は、多くの場合に成果ではありません。実は、役所のほとんどに、今年1年、これからの3年間に何をするかという「目標」がないのです。

実績を見る際に、3つのものがあります。
「投入量」(インプット)。予算額、つくった法律など
「産出量」(アウトプット)。復旧した道路、防潮堤の延長など
「成果」(アウトカム)。住民の暮らし、町のにぎわいがどの程度戻ったか
役所が行う評価は、しばしば投入量を測ります。「予算を確保した」「法律をつくった」は霞が関では成果ですが、被災地にとっては投入量でしかありません。
私が記事で「被災者の目線で検証をしてもらいたい」と言ったのは、被災地で見た、被災者から見た成果検証としてほしいのです。復興庁の使命は「被災地の要望に応えること」であって、それができたかどうかです。いくらたくさんの防潮堤と道路を造っても、町の暮らしが戻らないと意味がありません。

このような試みは、各省でも実施されませんかね。
まず東日本大震災では、原発事故復旧の検証をしてほしいです。今回の復興庁の検証では、その前身である緊急災害対策本部被災者生活支援本部(津波災害)は検証対象に含まれますが、原発事故の復旧は「原子力災害対策本部」の所管であり、復興庁の所管の外なのです。対策本部は会議体なので、資料の保存や検証はその事務局の仕事になります。
原発事故がなぜ防げなかったか、冷温停止になぜ失敗したかは、国会、政府、民間の事故調査委員会が検証しましたが、その後の復旧作業の検証がなされていません。