男女賃金格差

12月15日の日経新聞経済教室「ジェンダー格差是正への道筋 上」は、児玉直美・明治学院大学教授の「資本市場の力を生かせ」でした。

・・・日本は経済協力開発機構(OECD)加盟国の中で、職場におけるジェンダー格差が最も大きい国の一つである。労働政策研究・研修機構によると、2020年の女性管理職比率は、米国41%、英国37%、フランス36%、ドイツ28%、デンマーク28%、韓国16%に対し、日本は13%にとどまる。
またOECD統計によると、日本の男女賃金格差は徐々に縮小しているが、21年時点でもフルタイム女性労働者の収入中央値は男性より22%低い。韓国の31%に次ぐ大きさで、デンマーク5%、スウェーデン7%、ドイツ14%、英国14%、米国17%を大きく上回る。
図は筆者が参加する研究グループによる先進15カ国の30~55歳労働者の男女賃金格差を示したものだ。女性の賃金が男性よりどれだけ低いかを示し、マイナス幅が大きいほど男女賃金格差が大きいことを表す・・・
として、2つの図が載っています。図を見てもらうと、日本の男女差が突出していることが一目瞭然です。

・・・左図の横軸は年齢、教育年数、フルタイム・パートタイムを統制した上での男女の年収格差だ。日本の女性労働者の年収は男性より35%低い。基本属性を統制した後でも、男女賃金格差は韓国に次いで大きい。縦軸は基本属性に加え事業所固定効果を統制した後の同一職場内の男女賃金格差だ。日本の同一職場内の女性の年収は男性を33%下回り、突出して低い。国全体としての男女格差が大きいだけでなく、職場内の格差も大きいことを意味する。

右図は時間当たり賃金の男女格差だ。多くの国で女性は男性より労働時間が短いため、時間当たり賃金でみると男女賃金格差は縮小する。だが日本は基本属性を統制した時間当たり賃金でも、女性労働者の賃金は男性より32%ほど低く(横軸)、同一職場内の時間当たりの女性賃金も男性より30%低い(縦軸)。スウェーデン、オランダ、ノルウェーの女性労働者の時給は同一事業所内の男性より8%低い程度にとどまる・・・