11月21日の日経新聞に「外国出身高校生の日本語学習 官民連携の教室、進路描く」が載っていました。
外国出身の高校生らの支援が課題になっている。日本語が不自由なままで学習や進路選びで困難を抱える生徒も少なくない。高校と教育委員会、NPO(非営利組織)が協力して手助けしている現場を訪ねた。
10月下旬の土曜日。神奈川県立川崎高校(川崎市)の教室に14人の若者が三々五々集まった。中国、フィリピン、ネパールなどの出身で、同市や横浜市北東部の高校に通う生徒たちだ。
川崎高では毎週土曜日、日本語学習支援教室が無償で開かれている。この日は日本語指導員ら10人の運営スタッフが生徒を迎えた。
教室は午前、午後の2部制だが1日通しで学ぶ生徒も多い。学習内容は一人ひとり違う。「げた箱」「体育館」といった初歩的な単語を学ぶ生徒もいれば、日本語能力試験で最高難度のN1レベルの問題に挑む生徒もいる。ある女子生徒は大学の推薦入試を前に、志望理由を書く作業に真剣な表情で取り組んでいた。
教室は2020年7月に開始。認定NPO法人の多文化共生教育ネットワークかながわや県教委、川崎高など4つの拠点校の協力で運営されている。同NPOによると、3者連携の取り組みは全国でも珍しい。
発足の背景にあったのは外国出身の生徒らの高校中退率の高さだった。18年度の文部科学省調査によると、日本語指導が必要な生徒の中退率は9.6%で全公立高校生の1.3%(17年度)を大きく上回った。
21年度調査では5.5%と改善したが全公立高校生(1.0%)との差は大きく、就職者のうち非正規の職に就いた割合も4割と非常に高かった。高校を中退すれば一段と不利になるだけに、中退防止の取り組みは「安全網として大きな意味を持つ」(同NPOの高橋清樹事務局長)。
外国出身の生徒たちには日本語力以外のハンディもある。進路選択や将来のキャリアを描くのに必要な情報の不足や、ロールモデルとなる”先輩”の不在だ。
そこで川崎高の教室では大学生が指導に加わっている。