11月25日の朝日新聞夕刊「いま聞く」は、青柳光昌・社会変革推進財団専務理事の「インパクト、新興企業どう支援」でした。
詳しくは原文を読んでいただくとして。青柳さんも、東日本大震災復興の際に、復興庁が知恵を借り助けを借りた恩人です。現在は、このような新しい仕事に挑戦しておられます。
・・・「インパクト投資」や「インパクトスタートアップ」という言葉を聞いたことがあるだろうか。前者は収益と共に社会課題の解決をめざす企業への投資で、後者はそういう経営を行う新興企業をさす。規模は小さいが、確実に芽吹いている。
社会変革推進財団(Japan Social Innovation and Investment Foundation、以下SIIF)ではインパクト投資、なかでもインパクトスタートアップへの投資に力を入れている。
「インパクトはそもそも『影響を与える』という意味の英語ですが、ここでは特に『社会に良い影響を及ぼす』という意味で使っています。もともとは社会的インパクトと言っていましたが、最近では『インパクト』だけで表現することも多くなりました。インパクトスタートアップとは社会課題解決をめざす新興企業。私たちSIIFは、そのようなインパクトスタートアップに年間1億円規模で投資や助成、あるいは他の出資者とファンドをつくって、投資をしています。このようなインパクト投資も注目されていて、岸田文雄首相も施政方針演説で言及しました」
SIIF専務理事の青柳光昌さん(55)はこう話す。金銭的利益と共に社会課題の解決をめざす会社のことを「社会的企業」ともいう。どう違うのだろうか。
「ほぼ同じ意味ですが、インパクトスタートアップのほうが、より成長に焦点をあてていると言っていいでしょう」
インパクト投資は、投資全体からみれば微々たる額だ。しかし急増している。
「SIIFの調べでは2021年は1兆3204億円。20年は3287億円で、1年で4倍に伸びています。21年11月には、金融機関が合同で『インパクト志向金融宣言』を出しました。現在、メガバンク、地銀、生損保、投信会社、ベンチャーキャピタルまで42機関が分野横断的に参加しており、それだけインパクト投資が注目されているということでしょう」
環境に配慮した経営をしている企業に投資をする「エコファンド」など、同種の「社会に良いとされることをしている企業」への投資はいくつも存在した。インパクト投資はどこが違うのか。
「先ほどの『宣言』には各金融機関のトップが自ら名を連ねており、インパクト投資に向き合う本気度がより高いといえるのでは。経済的な成功だけが人生の成功ではない、社会をより良く変えることも生きがいだという若い人が増えています。私たちの投資先の一つに、保育の質の向上や保育士の負担軽減をめざし、保育施設向けICT(情報通信技術)サービスを提供する『ユニファ』があります。13年の設立で、CEO(最高経営責任者)は住友商事、CFO(最高財務責任者)は外資系金融の出身です。30代で創業あるいは転身しています。彼らは、自分たちが社会課題を解決していることに誇りを持ち、明確な成長志向があって日本発で世界進出もしたいと、夢と戦略を描いています」・・・