連載「公共を創る 新たな行政の役割」の第131回「政府の「大きさ」をめぐる論点」が、発行されました。今回から、第4章2(3)「社会を良くする方法」に入ります。
前回まで、政府による社会への介入の歴史と実態、その問題点を見てきました。これまで政府は、社会の安全や秩序を確保すること、産業振興や経済発展への介入、公共サービス提供などについては大きな蓄積があるのですが、新たに生まれた成熟社会の不安には十分な対応がなされているとはいえません。新しい課題の把握に遅れ、対応手法も完成していません。
特に公私二元論という考え方に拘束され、孤独をはじめさまざまな個人の悩みを支援する意識や、社会を構成員の力で良くしていくために働きかけ、その動きを助成するという意識が少なかったことが原因の一つでしょう。ここでは、政府の社会への介入手法を幅広く考えてみます。
「大きな政府と小さな政府」という議論から始めます。政府支出や公務員数を、過去や他国と比べて、特に社会保障支出に関して使われます。この指標は一定の意味はあるのですが、予算や公務員数では見えない政策や、表せない効果が多いのです。
投入量(インプット)と産出量(アウトプット)と成果(アウトカム)の違い、予算(フロー)と資産(ストック)の違い、事業間の比較ができないことなど。私が若い頃に経験した事例も挙げて、説明しました。