「東京暮らしは身分が上」意識

8月23日の読売新聞、藻谷浩介・日本総合研究所主席研究員の「地方で実現 新生活スタイル」から。

高度成長の頃から、地方の若者が首都圏の企業や大学を目指す流れが生まれ、若者はそのまま居着きました。しかし、今は都会でないと手に入らない物はほとんどなく、住環境や自然環境はむしろ貧しい。
それでも若者が首都圏を目指すのは、地方より東京の方が上という思い込みがあるのでは。誰にでもわかりやすい、一種の「身分」を手に入れたいと望む人が多いからだと私は考えています。

テレワークが普及し、どこでも仕事ができる環境がIT企業を中心に整いつつあります。「地方には仕事がない」という人は、都会で書類を作る仕事の方が減り始めていると気付くべきです。反対に、農業や林業の産出額は、2010年から20年の間にそれぞれ10%、13%と大きく伸びました。世界的な木材不足や、高付加価値の農産物の輸出増加などが要因です。
つまり、地方の経済発展の可能性が高まっているのです。安い家賃で広い住宅に住めて、祖父母との交流もあり、子育てしやすい環境もあります。自然を満喫し、子育てや食文化を楽しみながら働ける時代になったのです。実際、妻の出身地に戻って新たな事業を始める「嫁ターン」という言葉をよく聞きます。

組織運営の要諦1

私は官僚になってから、組織を動かす立場や、新しく組織をつくって動かす経験をしました。その経験と、他の組織でうまくいっていない事例を比べて、組織を動かす要諦は、「集権と分散」「社風」の二つだという結論に達しました。企業にも当てはまると思いますが、ここでは役所を念頭に説明します。

「集中と分散」は、幹部がすることと、部下がするべきことを、はっきりさせることです。幹部が組織の目標を提示し、それを部下に割り振ることです。そして、部下の動き把握し、問題があれば修正し、新しい課題が見つかればそれに対応すること(新しい部下を置き、指示を出すこと)です。
幹部が何を処理するか、何を部下に任せるかの判断が、最も重要です。幹部がすべてに指示を出すようだと、部下は自主性を失い指示待ちになります。部下にすべてを任すと、部下は迷走します。

各省や自治体の組織の多くは、長い歴史と経験を持っています。その間に、各組織は何をしなければならないかが、幹部が明示しなくても、構成員と外部に共有されています。
ところが、新しく作られた組織や、××本部のように臨時で編成される組織は、下部組織や構成員が何をしなければならないかが不明確です。幹部が部下に対して、はっきり明示しなければならないのです。
既存組織で管理職だった幹部が、新しい組織に来て「何で、部下は動かないのだろう」と悩むのは、ここに原因があります。既存組織では暗黙知だったことを、新しい組織では明示しなければならないのです。

もっとも、幹部も、全体の方向性は理解していても、下部組織にどのように割り振るとよいのか、誰だどれだけ仕事ができるのか、できないのかは、分かりません。だから、常に部下との対話を通して、進んでいるのかいないのか、どこに問題があるのかを把握する必要があります。自分一人ではすべてを把握することは困難なので、代行してくれる「手下」が必要です。
また、部下からも、自主的に問題点が申告されるような仕組みと雰囲気をつくる必要があります。これは、要諦の2「社風」につもつながります。「組織運営の要諦2

今の職場では女性が活躍できる

8月22日の日経新聞女性欄に、令和入社の女性社員1000人調査(下)「3人に1人「仕事や出世優先」」が載っていました。

今の職場では女性が活躍できる――。令和以降に大学や大学院を出て社会人になった女性の75.5%がそう感じていることが、日本経済新聞社の調査で分かった。また3人に1人は「仕事や出世を優先する働き方が理想」と回答。若手女性社員らが、女性活躍や昇進に前向きなイメージを抱いている様子が浮かんだ。
「今勤めている会社は女性が活躍できる職場か」との問いに「とてもそう思う」「ややそう思う」と答えた人は、4分の3を占めた。

会社や社会は、着実に変わりつつあります。

魔の交差点?

わが家の近くの地下鉄丸ノ内線は、東西に延びる青梅街道の下を走っています。新高円寺駅の二つの出口は、その道路の両側、すなわち南と北にあります。駅の真上に横断歩道があり、信号があります。

この横断歩道を渡るには、注意が必要です。信号が青になると、左右を確認して渡ります。ところが、渡り終わる頃に左側から、自転車が走り抜けるのです。
当然、自転車側の信号は赤です。だから、車は停止線で止まっています。その横から突然自転車が現れて、私の前を横切るのです。これには冷やっとします。ぶつかると怖いしケガをするので、立ち止まります。すると、私の前か後ろをすり抜けていきます。
「信号は赤ですよ」と叫ぶのですが、効果はありません。そのような運転をしていると、いつか事故を起こすだろうなと、心配になります。

もう一つ怖いのは、信号が赤の場合に車道から歩道に乗り上げて、歩道を走る自転車です。横断歩道を渡り終わって、歩道にたどり着いたら、危険が待っているのです。
また、地下鉄の駅を出るときも、冷やっとすることがあります。電車の駅には駅前広場があるのですが、地下鉄の駅にはありません。階段を上がって駅を出たところで、歩道を走る自転車に出会うのです。これも怖いです。

地下鉄にも駅舎をつくって、駅前広場を整備できませんかね。雨の日は、出口で傘を広げなければなりません。混雑します。バスやタクシー、送り迎えの自動車が道路に駐停車しなければなりません。歩道も広ければ良いのですが、多くの場合、そんなに広くありません。歩道に出口があるだけというのは、貧しいですよね。

脱・昭和時代

8月18日の日経新聞夕刊生活面に「日本社会 なるか「脱・昭和」」が載っていました。

もはや昭和ではない――。内閣府は6月に公表した男女共同参画白書にこんなフレーズを載せて「脱・昭和」を呼びかけた。令和のいま、働き方や女性活躍といった文脈では「昭和たたき」とも言える表現が噴出する。脱・昭和の現状と課題を識者らに聞いた。

「新しい上司が頭昭和でほんとやだ」「滅私奉公で昭和的な働き方」――。ツイッターにあふれる職場への愚痴を見ると、「昭和」は1つのキーワードになっている・・・
・・・「昭和の社会モデルをアップデートしてこなかったばかりに、ひずみがあちこちで起きている」。こう話すのは健康社会学者の河合薫さん(56)だ。著書「コロナショックと昭和おじさん社会」では、新卒一括採用で終身雇用の男性正社員が企業の中心メンバーだった昭和のモデルと実態の食い違いが、コロナ禍で明るみに出たと記している。
2020年2月に政府は感染拡大を防ぐため、全国の小中学校などの一斉休校を要請した。河合さんは子どもの世話で仕事を続けられないと困惑する母親たちの姿を見て、「これが女性活躍を掲げる令和の姿か」と疑問を抱いたという。
昭和時代は専業主婦の妻が介護や育児を担う役割分業が主流だった。今も女性が家族のケアを中心的に担う構造が続くことに、河合さんは「共働きが主流になって久しいのに、価値観もシステムも昭和のまま」と指摘する。

「長時間労働で休みが取れない」「社内飲み会に参加が必須」は昭和的イメージ――。企業向けのビジネスチャット機能サービスを手掛けるワークスモバイルジャパン(東京・渋谷)が22年4月、全国の中小企業に勤める20~59歳の正社員に行った調査では、39.4%が自身の勤め先を「昭和的」だと評価した。