組織運営の要諦2

組織運営の要諦1」の続きです。組織を動かす要諦の2つめは、「社風」です。

霞が関の各省は、民間企業から見ると「公務員」として、同じような「人種」に見えるでしょう。同じ公務員試験を受け、国家と国民のためという同じ目標に向かって仕事をしています。ところが、省によって社風・組織文化がかなり違うのです。新しいことに挑戦するか、しないか。上司への相談の仕方や、内部での決裁の仕方など。
これは、他省に出向すると痛感します。しかし、郷に入っては郷に従う必要があります。でないと、仕事が進みません。

難しいのは、各省からの出向者で構成された組織であり、新設組織です。
核となる省の社風がないので、それをつくらなければなりません。放っておいても、自然と社風はできあがりますが、それは困ったものとなる可能性があります。
職員たちは、よるべき社風がない、言ってみれば暗闇の中を手探りで進みます。ある案件について、積極的に進めるのか、しばらく様子を見るのか。そのような困ったときに、誰に相談したらよいのか。これが分からないのです。
すると、多くの職員は、しばらく様子を見ることになります。それでは、任務は進まないのです。他方で、意欲に燃える職員は張り切りますが、周囲から「浮いてしまう」ことがあります。

どのようにして、社風をつくるか。既存の組織なら、幹部は個室に入っていて、部下が決裁や相談に入ってくるのを待ちます。しかし新設組織や混成職員からなる組織では、それでは部下たちがどのような社風をつくっているのか、そのまえに何に困っているのかが分からないのです。幹部が自分から部下のところに出ていって様子を聞く、あるいは機会を捉えて事情や困りごとを聞く必要があります。
参考「組織の能力、6。仕事の仕方と社風を作る、2