死別の悲しみにどう向き合うか

8月4日の朝日新聞生活面連載「喪の旅」、坂口幸弘・悲嘆と死別の研究センター長へのインタビュー「消えない悲しみと向き合いながら」から。

――どうしたら心残りや罪悪感を少なくできますか。
多くの遺族は故人が亡くなる前のことを何度も思い返します。その時、自分の言動や判断を否定的に評価すると、しなかったことやしてしまったことへの罪の意識になる。一方で、これはよかったと肯定的に思えることがあると気持ちが少し楽になります。

つらい闘病生活だったけど最期は苦しまなかった。スタッフがよくしてくれた。家に連れて帰ることができた。好きな物を食べさせられた。自分たちでできる限りお世話した……。そういう肯定的評価ができると、心の救いになります。つまり、亡くなるまでの過程が重要であり、その意味で、グリーフケアは亡くなる前から始まっているとも言えます。病死の場合に限った話ではなく、つらい体験の中での何かしらの「せめてもの救い」が重要だと思います。

死別後に「もっとお世話できたはずだ」と思う人も多い。それを周りが「よくがんばったね」とねぎらうことで、過去への肯定的評価を促すことが大切なんです。