「ちゃんと勉強しないとこういう鉄工所で働かなあかんようになりますよ」2

先日書いた「ちゃんと勉強しないとこういう鉄工所で働かなあかんようになりますよ」に、読者から反応がありました。
「『ちゃんと勉強しないとこういう鉄工所で』の記事を読んで驚きました。高岡の小さな鋳物工場から急成長した錫製品メーカー「能作」社長の能作克治氏からまったく同じ話を聞いたことがあったからです。
能作氏も、工場案内をしたときにある母親が子どもに言った「「よく見なさい。ちゃんと勉強しないと、あのおじさんみたいになるわよ」という言葉が成長の契機になったと言っておられます。」

これは、ウエッブ「ダイアモンド」の2019年9月12日の記事「カンブリア宮殿に出演!「能作」社長が初告白!」です。
・・・そんなある日、めずらしく「工場見学をしたい」という電話があった。小学校高学年の息子とその母親だった。工場を案内すると、その母親は、信じられないひと言を放った。
「よく見なさい。ちゃんと勉強しないと、あのおじさんみたいになるわよ」
その瞬間、能作は凍りついた。全身から悔しさがこみ上げてきた。同時に、「鋳物職人の地位を絶対に取り戻す」と誓った。そこからの能作はすごかった・・・

日本社会の、汗を流すこと(工場労働や農業など)への忌避、事務職への憧れという通念がこの背景にあるようです。
経済成長期に、農村を離れ勤め人になるという大移動が起こりました。そしてさらに、工場などで働くブルーワーカーより、事務室で働くホワイトカラーへのあこがれが強くなりました。現在でも、工場労働や農業、介護職などは人手不足ですが、事務職は求職者がたくさんいます。給料などの差もありますが、それだけでなく通念が影響していると思われます。
とはいえ、私も事務職を選びました。