社会目標の再設定

連載「公共を創る」で、日本社会の不安とその解消方策について考えを書き続けています。ジャパン・アズ・ナンバーワンと呼ばれ、世界から高い評価をもらった経済成長期から一転して、失われた10年は30年になりました。その間の経済力の低下は甚だしく、給料は上がらず、非正規労働者が増加し、社会に元気はありません。

ところが、野球、サッカー、テニス、ゴルフを始めスポーツ選手の国際的活躍は素晴らしく、芸術分野や科学研究分野でも個人の活躍には目を見張るものがあります。
「日本は元気がない」と言われますが、そうではないのです。うまくいっている分野とそうでない分野があります。これらスポーツ、芸術、科学技術分野の成功も、個人が根性で頑張っている結果ではなく、組織として育成し、世界で挑戦しているからです。

ここから導かれる教訓は、次の通り。
1 停滞している日本ですが、活躍している人や組織もあること。
2 他方で経済産業や政治の分野で、うまくいっていない。批判はされているが、それが転換に活かされていない。日本全体を見て、社会目標の再設定に失敗している。
3 かつての経済成長のように、国民みんなに共通する目標はあり得ず、多様な生き方になるのでしょう。しかし、それは「各自が自由に行動せよ」という放任ではないでしょう。
4 すると、国民が多様な目標に挑戦できるように、活力があり安心できる社会をつくることが、国家と国民の目標になります。