霞が関、統計軽視の人事

2月23日の日経新聞「統計不正、再びの衝撃(3)」「知識も情熱もない 統計軽視、国の人材育成進まず」から。

・・・1月25日、建設受注統計のデータ復元を目的に国交省が立ち上げた専門家会議の初会合。委員長を務める青山学院大名誉教授の美添泰人は「この20~30年の間で予算も人員も大きく削減された」と嘆いた。「任期が短いままに異動させられることが頻発している」とも指摘した・・・
・・・国交省は常勤約3万8千人を抱えるうち統計職員は50人しかいない。問題の建設受注統計は実質的に1人で仕事をこなしていた。
経済産業省で統計に携わった職員は「通常業務と掛け持ちで負担は大きい」と打ち明ける。集計に追われる繁忙期は休日返上も珍しくない。「どこの部署も忙しく、統計業務のために応援を頼む発想はない」

予算や人員の削減の背景に根深い問題もある。国交省の検証委員会による聞き取り調査で、歴代担当者は口々に「必ずしも体調が万全でない職員や時間外労働に従事することが難しい職員が多かった」と証言した。検証委は「専門知識が乏しく、情熱もない職員にとっては先人の統計手法を踏襲するやり方は安直で実践的だった」と断じた。
専門人材の育成や職員の研修体制強化。長く指摘されてきた課題は、18年末に発覚した厚生労働省の毎月勤労統計の不正問題で改めてクローズアップされたはずだった。その後も統計を軽視し、閑職とみなしがちな風潮が変わらないままであることが今回、露呈した。
統計行政をつかさどる総務省統計委員会の委員長、椿広計は危機感を強める。「データサイエンスの人材が日本全体で枯渇している。もっと大きな問題かもしれない」・・・