齋藤純一、田中将人著『ジョン・ロールズ 社会正義の探究者』(2021年、中公新書)を読みました。私にとって、「比較的」分かりやすかったです。
ジョン・ロールズは、『正義論』(1971年、邦訳2010年、紀伊国屋書店)で哲学を再生させたと評価される、ハーバード大学の哲学の教授です。
『正義論』は買ったのですが、分厚くて、本棚で寝ています。ロールズを紹介する本もいくつかかじったのですが、その都度、挫折。この中公新書は、最後まで読み通すことができました。新書は、門外漢がとりつくには、ありがたいです。すべてを理解できたわけではありませんが、ほぼ全体像をつかむことができました。
ところで、歴史上の偉大な人や研究者の評伝には、2種類のものがあるようです。一つは、その人の成り立ちから、行ったことを詳しく書いたものです。もう一つは、その人のこととともに、その人が育った背景、そして社会に何を提示し何を変えたか、それは後世にどのような影響を与えたかを書いたものです。前者はその人についての深掘りであり、後者は社会と歴史におけるその人の位置づけと言ってよいでしょう。
門外漢や初心者には、後者が必要なのです。その人が書いた書物を読むときも、それまでの何を変えたか、社会と後の世にどのような影響を与えたかを知らないと、その古典の価値が分かりません。