「新しい試みに反対する人、後押しする人、実現する人1」の続きです。
若い時は、おかしいと感じた仕事の内容ややり方をどうしたら変えることができるかを、考えていました。そのうちに管理職になり、役割が変わりました。変えるべき課題と方向は、私の方が良く知っています。そこで、職員にそれを指示し、進めることが私の任務になりました。あわせて、部下たちが変更をやりやすいように、彼らの意見を聞き、また後押しをすることも重要になりました。
問題点の発見と改革案の立案は、多くの人ができます。課題は、周囲の反対を突破して実現することです。反対する人や、先送り(これも実質は反対と同じ)を主張する人を、どのように説得するかです。
これは、難しいです。私が若いときに、現状維持派になりかけたのも、組織の風習・社風に染まりかけたからです。そこで、その後も「どうしたら役所を改革志向の組織に変えることができるか」を考えてきました。
若い人は、現状のおかしさに気がつきます。そして改革を試みます。しかし、周囲の理解が得られず挫折を繰り返すと、改革意欲を失います。彼らの芽を摘むのは、現状維持派の周囲と上司たちです。もっとも、その上司たちの多くも、若い時は改革派だったのです。
「役人とは、できないという理屈を考える優秀な動物である」という批判があります。
現状維持派にとって現状がおかしいと思っても、改革案の問題点を一つや二つ上げることは簡単です。さらに殺し文句は「今のままでも、いけるよな」「慎重に検討しよう」です。これで、改革の機運はしぼみます。
この項続く。