11月20日の朝日新聞夕刊「課題地獄の嘆き、いまも オンライン授業拡大、背景に」から。
・・・コロナ下で大学にオンライン授業が普及して以降、急浮上した問題の一つが「課題地獄」だ。「教えた内容が身についているのか不安」などの理由で各教員が多くの課題を出し、学生たちが疲弊した。その後、大学の対応は進みつつあるものの、道半ばのようだ・・・
・・・コロナ禍を受け、各大学では昨年春以降、オンライン授業が一気に拡大。多くの教員が、教えた内容が身についているかどうかを確認する手段として、あるいは試験が実施できない時の成績評価の代替手段などとして、リポートや動画などの提出を求めた。金子元久・筑波大特命教授(高等教育論)は「日本の大学では教員同士の連携が少なく、それぞれ独自に授業を進める傾向が強い。このため各教員が、オンライン授業の導入当初は互いに調整せずに多くの課題を出し、『課題地獄』という問題が起きた」と話す。
大量の課題をこなすために、学生たちの勉強時間は増えた。学生を対象とした日本学生支援機構の2020年度の調査によると、「授業の予習・復習、課題などに、1週間に6時間以上使った」と回答した割合は51%。コロナ前の18年度に比べて23ポイントも上昇した・・・
・・・コロナ前は国の基準ほど勉強していない学生も多く、朝日新聞と河合塾の調査では「負担が増えたと言っても本来学ぶのに必要な時間でもあり、授業内容の理解は深まっている」(関西の公立大)として、課題の増加を問題視しない大学も一定数あった。
金子特命教授は長年、日本の学生の勉強時間の少なさを問題視してきた研究者の一人。「大量の課題が出されたことで、苦労もあったとは思うが、多くの学生は対応することができた。勉強時間が増えたのは歓迎すべきことだ」と話す・・・