「オールド・ボーイズ・クラブ」の続きです。第5回9月3日は「多様性が「当たり前」に挑む」でした。第4回までは男性社会を取り上げていましたが、女性社会もありました。
・・・男性が多数派の世界で形成されるオールド・ボーイズ・クラブ(OBC)。男性が悪いというよりも、一つの性が多くを占め、多様性に欠けることが問題なのではないか。そこで、女性が多い看護師の世界を取材した。
自民党の石田昌宏参院議員(54)は1990年に看護師となった。「当時はまだ男性看護師が1%くらい。看護協会本部の建物でも、女性用トイレに壁を作って男性用にしていた時代です」
いま男性看護師は8%ほど。まだまだ少数派だ。現場の看護師はどう感じているのだろう・・・
・・・たばこ部屋や飲み会ならぬランチ会で、知らぬ間に決まっていることもよくあった。「病棟の方針や仕事の手順など重要なことが、さっき決めたから、ランチ会でそうなったから、と言われて」
男性多数の企業社会で起きていることと似ていないか。
男性が増えたら変わりますか? 佐藤さんに聞いた。「ただ増えるだけではなく、役職がつき、責任ある立場につくことが必要です」。米国の女性と政治の専門家が「ただ女性が増えるだけでなく、役職につかなければ」と強調していたことと同じ答えだった。
多数派は新しいことに踏み出すのをためらう――。関西在住の男性看護師(33)も似た経験をした。「患者の床ずれを防ぐために2時間ごとに体位を変えていたんですが、患者によっては4時間でも大丈夫だというガイドラインが示されたんです。そこで、一人一人データを取りつつ、3時間に変えようとしたんです」。しかし、ものすごい抵抗にあったという。
「2時間おきに変えるより記録をとる方が空いた時間を患者の状態を分析する時間に振り向けられる。患者にも良いと思ったんですが……」。マニュアルや手順書を作り、データを示し、勉強会を重ねてようやく受け入れられた。「私たち少数派は視点が違う。多様な人がいる方がフットワーク軽く挑戦でき、変革できます」・・・