組織を作り動かす2

組織を作り動かす」の続きです。

私は、過去に新しい組織を作って、混成部隊で仕事をする経験がありました。省庁改革本部再チャレンジ室です。また、ほかの組織の失敗事例を見てきました。
取り組むべき課題を整理し、職員を集めることも重要なのですが、その組織を動かすことはもっと難しいです。

各分野に精通した職員を、それぞれの省庁から呼び集めます。方向性さえ統一すれば、それぞれの分野については彼らに任せればよいのです。ところが、彼らの間での、仕事の進め方を共通にすることが難しいのです。
職員たちに何をしなければならないかを理解させ、どのように仕事を進めるかを考えてもらい、上司に判断を仰ぐものと自分で判断するものとの線引きを作り、そして上司の指示を待たずに課題に取り組むようにしなければなりません。
ところが、各省ではそれが文書決裁規定に定められ、慣習ができています。そして各省において、この慣習は異なるのです。「これは誰に相談するか」「どのように起案して決裁を回すか」などです。それを一からつくる必要があるのです。
知らない職員同士が、異なった社風で仕事をすると、放っておくと、歯車がかみ合いません。これを軌道に乗せる、みんなで助け合い、同じ目標に進む、そして誰に相談すればよいかをわかるようにすることが、重要なのです。

大震災で支援本部の運営が比較的うまく行ったのには、それ以外の条件もあります。
まず、被災地で困っている大勢の被災者がいて対応を急ぐ必要があったこと、少々の間違いや混乱があっても対策を急いだことです。前例はなく、根回しをしている時間がありません。
また対応を急ぐために、決裁も簡略化しました。職員から参事官に相談し、直ちに統括官に上げて判断する。難しいものは毎日の大臣たちを入れた幹部会議で決定するという、まことに簡素な意思決定過程でした。
記録には残しましたが、このような知恵と経験は、どのように後輩たちに引き継ぐのがよいのでしょうか。