人の話を聞いて自分の間違いを知る

7月29日の日経新聞夕刊「私のリーダー論」菰田正信・三井不動産社長の「厳しい時こそ夢あるビジョン」から。

――軸がぶれない点はリーダーの資質でしょうか。
「気をつけないといけないのが自分の信念が間違っている時です。軸がぶれないことは大事ですが、間違っていた場合は会社として最悪な状況になります。自戒を込めて振り返ると、働き方に対する考えは改める必要性がありました。かつては私自身も、24時間365日、家庭を顧みずに仕事をすることが当然という社風の中で働いていました」
「社長に就いて2~3年目のとき、ある方の講演を聴きました。人口減少時代では、少ない人材でも一人ひとりが最大限の能力を発揮できることを考えるべきだと説いていたのです。私は働き方を変えないと駄目だとその場で学び、自分自身の信念を変えました」

――自分の信念を変えるのは簡単でありません。
「私も素直に変えられる方ではないです。ただ、経営者として人の話をよく聞くことを心がけています。取締役会や幹部会を含め、大きな事業を決める時ほど人の話を聞くようにしています。自分を変えることは難しいです。しかし、人の話に謙虚に耳を傾けることで、ひょっとしたら自分は間違っているのではないかと気付くことができます。自己のリスク管理のためにも重要だと思っています」