制度を所管するのか、問題を所管するのか。2

制度を所管するのか、問題を所管するのか。1」の続きです。
既存組織は、どうしても、所管している制度(法令や予算)を前提に考えます。担当職員は、その法律の逐条解説や制度の解説を読んで、勉強しています。何ができて何ができないかを、頭にたたき込んでいます。これが、正しい公務員です。
これまでにない問題が発見された場合に、既存の制度で対応できないかを検討します。解釈変更や、少々の改正でできないかです。それが難しいとなると、「既存制度ではできない」という判断になります。

法令や予算を変えるとなると、労力と時間がかかります。そして実現できるかどうか、簡単には判断できません。
ところで、時に、国会や議会の質問で「鋭い指摘」(制度を改正して対応した方がよいと考えられる指摘)が出ることがあります。しかし、前日の夕方に質問が出たら、「できません」という答弁しかできません。法令改正や予算獲得には、それなりの時間が必要なのです。

「それは、法令に書いてありません」「それは私の所管ではありません」というのが、守る公務員です。「法令や予算にないなら、考えましょう」というのが、変える公務員です。
公務員全員が、後者になることは無理です。対応策は、公務員の中を、言われたことをする人と、制度改正まで踏み込んで問題解決を考える人との、2種類に分けることです。かつての国家公務員上級職は、この考えだったのでしょう。
この項続く