4月11日の読売新聞、辻哲夫・元厚労事務次官の「コロナで見えた予兆 増える高齢者 病床再編が必要」から。前回に続き、その2です。
・・・保健所の業務や機能についても逼迫が指摘されました。
保健所は1990年代の行政改革、地方分権推進の議論を受けて統廃合が進みましたが、国と自治体の権限、役割分担を改めて決める必要があります。もちろん「地方に任せるべき仕事は、任せる」のは当然です。しかし、コロナ禍のような危機的状況に直面した場合、国が司令塔として強い管理機能を持つことが重要です。
また、国は日頃から感染症対策の危機管理要員を育成し、いざという時、そのノウハウが自治体の保健所まで届く体制にする。
国は次期医療計画(2024~29年度)の重点事項に「新興感染症等の拡大時における医療」を加えました。国家プロジェクトとして感染症対策を見直す必要があります。感染症大流行との戦いは、いわば「有事」です。国際的な人口流動性を考えれば、今後も大流行は十数年に1度は起こりうる。安全保障の観点から感染症対策を考えるべきです・・・
東日本大震災の際も、通常の災害では県や市町村の役割である業務も、県や市町村の手に負えないため、国が乗り出しました。「地域でできることは地域で」というのが分権の思想ですが、緊急時には国が自治体を補完するべきです。