G7で日本だけが平均賃金が下がった

2月24日の日経新聞夕刊「変わる給料(上)今年の労使交渉」に、びっくりする図が載っています。「G7で日本だけが平均賃金が下がった」、2000年から2019年の増減率です。
OECDの調査によるものだそうですが。この10年間に、他の6か国は40%~70%の増加なのに対し、日本だけがマイナスです。

日本経済は、1991年にバブル経済が崩壊し、長期デフレに悩みました。2000年以降は景気は回復しました。リーマン・ショックもありましたが、それはG7各国に共通です。
日本の伸び率が低いのならまだしも、他国の賃金が1.5倍になっているときに、日本は減っているのです。
この理由は、日本経済全体の停滞とともに、労働者に着目すると、賃金の低い非正規労働者の増加によるものと考えられます。

アトキンソンさん。日本人の検証なしでの思いこみ

2月23日の朝日新聞スポーツ欄、デービッド・アトキンソン氏「世界一寛容な日本、願望に近い」から。

・・・日本人は思い込みや俗説が多い。専門家に確認しない、検証しない。厳しく言えば、プロ意識が低い面があることは共通しています。それは寛容の一環かも知れませんが。
例えば、東京五輪が日本経済の起爆剤になるというのも、俗説。エビを食べて長寿にあやかるのと同じ。数週間のイベントがGDP550兆円の日本経済に大きな影響を与えるはずがありません。
五輪で観光客が増えるというのも、何の根拠もない思い込み。インバウンドが増えたのは5年前からですが、リオデジャネイロで五輪があるからと、開催の5年前にブラジルに行った日本人が多くなった事実はないです。自分たちがやらないのに、なぜ外国人がやると思うのか。
過去の大会では、その年には海外からの需要が増えるが、ほとんどがマスコミ関係。翌年はよくない。2012年に開催したロンドンだけ増えましたが、これは五輪に合わせて観光対策をしたから。五輪だけの影響ではありません。

日本の決定的な問題は、クリティカルシンキング(批判的思考法)が十分にできていないこと。これは、仮説を立てて、ロジックを分解し、データで検証し、結論を導き出すもの。
大学の問題が大きい。クリティカルシンキングができるようになるのは大学生の年齢。人間というものは勝手な思い込みをする生き物なので、それをなくすため大学教育が発達した。
大学の4年間、先生とのやりとりで、思い込みで発言したら、根拠はなんですか? 評価に客観性はありますか?と聞いて答えさせる。日本の大学はそれが十分できていない。
だから日本は事後対応しかできず、いつも後手に回る。事前に仮説をたてて議論しても、受け入れられないのです。予想はできるのに、何も手を打たない。
重ねていいますが、東京五輪はやっても、やらなくても、日本経済には中長期的にはさしたる影響はありません・・・

頭を下げてぎっくり腰になる

黒江・元防衛次官の回顧談第12回「官房業務 ~官房とは謝ることと見つけたり~」に次のようなくだりがあります。

・・・担当局長が委員会に出席 して謝罪し、やっとのことで事態が収束した直後のある日、官舎の浴室で風呂の蓋をとろうとしてかがんだ瞬間に腰に鋭い痛みが走り、動けなくなりました。典型 的なギックリ腰でした。
整形外科にかかつたものの痛みがひかず、厚労省のある先輩に教えて頂いたカイロプラクティック医院で診察してもらったところ、「太腿の後ろの筋内、ハムストリングが張つています」という思いがけない診 断結果を告げられました。
さらに「黒江さん、最近お辞儀みたいな動きをしましたか ?」と問われたので、「ここ一年近くずつとお辞儀をし続けて来ました」と状況を説 明したところ、「ギックリ腰の原因はそれです !お 辞儀の動きは大腿に負担がかかるのです。太腿の裏が張つて負担に耐えられなくなると、次は腰に来て、最後はギックリ腰 になるのです。労災の認定を受けられると思いますよ」と真顔で言われました。
さすがに公務 災害は申請しませんでしたが、今思うと申請していたらどうなつていたのか興味があります。ともあれ、この医院に二、三週間通つた結果、幸い腰痛は治りました・・・

この話は、このホームページで、主語を明らかにせず載せたことがあります。「お詫びと筋肉の関係