コロナ禍での五輪開催判断、立ち止まって考える

12月26日の日経新聞、安田秀一さんの「五輪開催、公に議論を メリット・デメリット冷静に判断」から。

・・・将来、2020年は世界の大きなターニングポイントだった、ということになるでしょう。資本主義経済の発展で「生き急いでいる人類」が、ウイルスの猛威によって一息つくことを強いられました。それが大きな価値観の変化を生むからです。
パンデミック前の世界は、理性的な声が届かない、熱病に浮かされたように「突き進む」雰囲気が、さまざまな局面で広がっていました。
長く続くステイホーム。いくらお金を持っていても使い道がなければ、意味はありません。家族と過ごす日常では、見栄も虚栄もなく、人間としての本質的な関わりが求められます。人々が「日常の最適化」に向け、いったん歩みを止め、じっくり考え直すことができます。地球上の全ての人々が同じタイミングで同じような事態に陥っているわけですから、その影響力が小さいはずがありません・・・

・・・東京五輪についても本質は同じだと思っています。このコラムでは、五輪のために国立競技場など巨大施設が、後利用を考えずに建設されることの問題を指摘してきました。一部で合理的な反対意見があったとしても、まるで止まらなかった。「五輪は必ず大きな恩恵をもたらしてくれる」という幻想は個々の欲望をあおり、そんな熱病的な力学が、政治はもちろん、建設業界、観光や飲食、宿泊業、われわれスポーツ業界にも同じように作用していました・・・
・・・開催するのか中止にするのか。開催するなら、どんなやり方が最適なのか。そもそもなぜ五輪を開催するのか。冷静に議論すべきタイミングが、本来なら今のはずです。
僕は五輪を中止にすべきだ、と言いたいのではありません。開催でも中止でも、どちらにもメリット、デメリットがあるはずです。それぞれをしかるべき機関をつくって公に議論すべきだということです。本来は主権者である我々国民が判断すべきなのに、具体的な情報が少なすぎます。
報道で知る限り、政府や大会組織委員会が立ち止まって考えている様子はなく、開催に向けて前のめりに突き進んでいます。時期が近づけば、潜在している問題が大きく顕在化していくのは火を見るより明らかです・・・

・・・本気で開催を目指すのであれば、こうした課題を網羅的にテーブルに載せ、当事者同士、世界各国と日本の地域が具体的に一つ一つ丁寧に解決していかねば、開催しても大きな禍根を残してしまうでしょう。
コロナは天災ですが、誰かの決断で事態の悪化を招くのであれば、間違いなく人災となって「唯一の当事者である日本」はその責任を問われます。だから五輪を開催するメリットとデメリット、それを広く議論して、みんなで正しい決断をする必要があるのです・・・

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大震災から10年

今年の元旦の新聞1面は、あまり明るい記事は見当たりません。各紙とも、新年にふさわしい話題を探したのでしょう。新型コロナウィルス、経済、政治、社会。悲観しているだけでは、良くならないのですが。

日経新聞は特集で、大震災から10年を取り上げてくれました。「生活再建 歩んだ10年 インフラ復旧にメド
・・・2万2000人以上の死者・行方不明者を出した東日本大震災は3月11日、発生から10年となる。今も4万人以上が避難生活を送る一方、津波で壊滅的な被害を受けた岩手、宮城、福島各県の沿岸部は、道路や鉄道など交通インフラがほぼ復旧。基幹産業の水産業の再生などに加え、東京電力福島第1原子力発電所事故が重なった福島ではロボットの開発拠点が全面開所し、関連産業の集積が進む。復興の現状と課題を整理した・・・
写真付きで、インフラや産業の復興を解説しています。

2021年3月から、10年になります。今年は、その振り返りの記事が、多くなるでしょう。私たちの取り組んできた仕事が、評価されるということでもあります。

「暴君ーシェイクスピアの政治学」

「暴君ーシェイクスピアの政治学」(2020年、岩波新書)を読みました。これは勉強になります。お勧めです。

著者は、シェイクスピア研究家です。「ヘンリー六世」「リチャード三世」「マクベス」「リア王」「コリオレイナス」等の作品を基に、暴君がいかにして暴君になるのか、権力簒奪者がどのようにして権力の座に着くのかを描き出します。シェイクスピアをこのように読むのかと、感激しました。

指導者になろうとする人の話が嘘とわかっていながら、大勢の人々が信じます。地位も理性もある人が、その者に従います。そして、誰もがそんなことはないと思っていた「ふさわしくな人物」が、指導者に選ばれます。
このような観点からシェイクスピアの戯曲を読むと、出てくるわ出てくるわ。「同工異曲」とも思えるくらいです。
一つの救いは、そのような成り上がりの指導者が、長く地位を保つことなく、自滅することです。

著者は、本書の執筆のきっかけを、「今回の選挙を見て」といった趣旨としています。明言していませんが、トランプ大統領を念頭に置いて書かれたことは明白です。シェイクスピアと著者の警告は、どの時代にも通用するのでしょうが、現在のアメリカだけでなく、その他の国、日本にも当てはまる問題です。

令和3年元旦

令和3年の元旦を迎えました。東京は快晴、おだやかな新年です。皆さん、良いお年をお迎えのことと思います。
日本海側を中心に、年末から雪のようですが、大きな被害や支障が出ないことを祈っています。年末年始も働いておられる医療関係者、消防や警察、交通や流通関係者などに感謝しなければなりません。

我が家は、夫婦2人で新年を迎えました。朝から娘夫婦が孫を連れてきて、いつものお正月です。地方勤務の息子はコロナ対策で、今回は帰省しません。いつも通りが、ありがたく思えます。初詣も、自粛傾向でしょうね。

66歳になりました。お正月兼誕生祝いの鯛と、新年用のお酒をいただいています。
玄関の入ったところに飾っていた絵を、掛け替えました。これまでは、鹿児島勤務の記念の桜島でした。今回、富士山と太陽の明るい絵にしました。これは元気が出ます。

今年も、友人から送ってもらった今朝の富士山です。まずは、横浜から眺めたもの。

 

 

 

 

次は、富士講の霊場の人穴(富士宮市)からだそうです。