年別アーカイブ:2020年

イギリスのヨーロッパ連合離脱、イギリスは別の国に

2020年2月4日   岡本全勝

1月31日の朝日新聞オピニオン欄、イギリスのヨーロッパ連合離脱について、「勝者なき離脱」。その2。ジル・ラッター、イギリス政府政策研究所上席研究員の発言「もはや別の国、名声どこへ」から。

・・・昨夏就任した英国のジョンソン首相は、この半年間で首相らしい仕事を何一つ、していません。ジョンソン政権は政府ではなく、ある種のキャンペーンと化していました。議会で多数派を勝ち取ることが目的のキャンペーンです。

政権が挑んだのは、一つは議会との戦争でした。EUからの離脱に乗り気でなかった英議会に対し、政権は対決姿勢を鮮明にしました。もう一つは、司法との争いです。議会を閉会させて動きを封じ込めようとしたジョンソン政権に対し、最高裁がこれを違法とする判断を示したからでした。
ジョンソン首相は、総選挙に持ち込むことによって、これらの戦いでの勝利を収めたのです。では、勝ったからそれで良かったのか。

英国はかねて、法制度や行政システムの安定度、公務員の公平性、議会の効率性や司法の独立の面で、各国のモデルとなってきた国でした。その評判は、一連の騒ぎで大きく損なわれました。
法の支配と司法の独立を確立しようと努めてきた国なのに、首相が法にあえて挑戦し、閣僚が司法のあら探しをした。政権の行為の違法性も問われた。これで、従来の英国の名声が保たれるでしょうか。他国に向かって「良きガバナンスとはこういうことです」と説教してきたのに、まるで自らが腐敗したかのようではないですか。

英国の官僚についても同様です。政治任命が常態化している米国などとは異なり、英国の官僚は不偏不党を基本とし、どんな立場の政治家にも公正に仕えることで、高い評価を得てきました。しかし、EU離脱を巡っては、そうした関係が崩れました。「離脱」を信仰のように奉る一部の政治家は、「官僚は離脱の作業を妨げているのでは」と疑いました。
その結果、英国は以前と比べてどこか異なる、別の国になってしまいました・・・

イギリスのヨーロッパ連合離脱、人々の憤怒

2020年2月3日   岡本全勝

1月31日の朝日新聞オピニオン欄、イギリスのヨーロッパ連合離脱について、「勝者なき離脱」。山本圭・立命館大学准教授の発言「人々の憤怒、軽んじた左派」から。

・・・左派の関心は長らく、マイノリティーのアイデンティティーをいかに承認するか、ということでした。近年、その論調は変化を見せ、「左派も経済を語るべきだ」という声が大きくなってきました。「反緊縮」を唱える左派ポピュリズムの台頭もその流れにあります。しかし、多くの国で左派政党から人々が離れているのはなぜでしょう。

米国の著名な政治学者フランシス・フクヤマが、近著で興味深い指摘をしています。近年、自分たちのアイデンティティーが十分に承認されていないと感じる人が増えている。つまり、現在の政治では、人々の尊厳が問題になっているというのです。
ここで言う「尊厳」とは、経済的な損得では説明できない複雑な感情です。つまり、単に公正な再分配を訴えればいいというわけではない。尊厳には、「私たちを忘れるな」という純粋な自己承認を求める感情もあれば、その裏返しとして「なんでやつらばかりが優遇されるんだ」という他者攻撃にもつながる憤怒の感情も含まれます。

離脱派があおった排外主義やナショナリズムは、後者の感情を動員しやすい。ジョンソン首相の人気の秘密もここにあるのでしょう。ジョンソン首相は実際にEUを離脱した後も、人々の尊厳を満足させ続けられるかが問われるでしょう。
他方でEU残留派は、人々の尊厳の感情をうまく捉えきれなかったように思います。こうなると、いくらEUの大義やその経済的効果を訴えても、人々には響きません・・・

働き方改革、霞ヶ関の非常識

2020年2月3日   岡本全勝

日経新聞は、1月28日から31日まで「働き方改革 霞ヶ関の非常識 識者に聞く」を連載しました。

28日の、元厚労省・千正康裕氏の発言から。
――現場の余裕がなくなっている理由は。
「一つは政策立案の速度が速まっていることだ。昔は2年後の国会提出を見越して法案の制度設計をすることができた。今は何か問題が起きたらすぐ法改正などが求められる。児童虐待の件数はここ10年間で増え続けており、児童虐待防止法は4年間で3回も改正された。常に法改正などの案件を抱え、現場も、現場を育成する立場の管理職も余裕がなくなっている」
「人材配置の問題もある。深夜の国会待機が当たり前の働き方では、子育て中の女性らを国会対応が忙しい部局に配置することが難しい。その結果、休まず働けて能力もある一部の職員に次から次へと仕事が集中する状況が続く。今の霞が関ではこうした中核人材が徐々に疲弊し、壊れ始めている。私も企画官になってから休職を経験したが、まさか自分がうつになるとは周りも自分も全く思わなかった」
「第一線で働いていた職員が精神疾患や家庭環境の悪化で厚生労働省を去り、若手も将来のキャリアを描けなくなっている」

29日の、弁護士・菅谷貴子氏の発言から。
――パワハラに耐えて昇進してきた幹部が重要ポストを占めており、組織が変わりにくい側面もあるのでは。
「50代前後の管理職世代は『お気の毒世代』だと思う。かつては仕事一筋の『モーレツ官僚』であることを求められ、管理職になったとたんにワーク・ライフ・バランスを重視する若手の育成や雑用に時間を割かれる。構造的に疲弊しているのは民間企業でも同じだ」
「生ぬるい指導では仕事にならないと思っている人は今も一定数いるだろう。パワハラが横行する職場でたたき上げられ、『あの時代があってこそ地位もスキルも得た』と思い込んでしまう。時代の流れにあわせ、人の育て方を学ぶことも重要なスキルだと伝えたい」

連載執筆、第2章2(3)原稿完成

2020年2月2日   岡本全勝

前回(1月19日)報告した、第2章2(3)「次代への責任」がゲラになりました。
年末年始に頑張って、原稿を書き上げました。その後、右筆にコテンパンに手を入れられました。それぞれが的確な意見なので、ほぼすべて採用。それを加筆して、先週、編集長に提出しました。
編集長の手で紙面の形になり、第33回から38回まで、6回分になりました。2月13日から3月26日号に載る予定です。

これで、第2章「暮らしを支える社会の要素」が終わり、第1部「町とは何か」も完成です。次は、第2部「社会は変わった」、第3章「転換期にある社会」に入ります。

この連載では、公共のあり方を考えています。そのきっかけは、日本社会が大きく変化した結果、これまでの行政とその延長では、国民の要望に応えられないという問題意識です。
第1章では、東日本大震災を素材に、災害復旧政策を大きく変えたことを述べました。日本社会が成熟社会へ変貌し、住民や地域が求めるものが変化していたのです。
第2章では、公私二元論では現代社会をうまく捉えることができなくなっていることを指摘しました。また、私たちの暮らしを支える社会的共通資本、特に文化資本の重要性を考えました。
第3章では、これまでの行政が前提としていた社会が、どのように変化したかを考えます。

頑張った甲斐があり、今回執筆分は、記事にして2か月分になります。しばらく、余裕ができました。とはいえ、第3章は、いろいろと基礎数値を調べる必要があり、そんなに余裕を持ってはいられません。

進化するトイレ

2020年2月1日   岡本全勝

家を建てて14年。外壁補修と合わせて、便器を新しくしました。長年使っていると、掃除をしていても、汚れてきます。トイレも進化しているとのことで、入れ替えました。

ウオッシュレットは、すばらしい発明だと思います。海外のホテルで、ついてないと、がっかりします。
ただし、便器の上に乗せる仕組みなので、ウオッシュレットと便器の隙間(ウオッシュレットの裏側)に汚れがつきます。こまめに掃除すれば良いのでしょうが。私が気がついたときは、こびりついてきれいになりませんでした。金属で削ったら、さらに悪化しました。失敗。

工務店に相談したら、便器と一体型がありますとのこと。パナソニックのアラウーノです。面白い命名ですね。
これなら、ウオッシュレットと便器の間に汚れがつくことはありません。
ガラス樹脂製なので、汚れがつきにくいとのこと。さらに、使う度に、洗剤で洗ってくれます。
もう一つ優れた点は、男性の小便のはね返りを、抑えてくれるのです。
水をためておく水槽がないので、小さくなりました。ただし、便座の面積は広くなっています。これも、はね返りを飛ばさないためでしょう。