エズラ・ボーゲルさんがお亡くなりになりました。12月22日の朝日新聞天声人語が、次のように書いています。
・・・ハーバード大教授として79年に刊行した『ジャパン・アズ・ナンバーワン』はベストセラーに。経済発展を遂げた要因を解説し、日本人の自国観にも多大な影響を与えた
組閣時に側近ばかりを厚遇せず、派閥均衡に努める首相。社員を社宅に住まわせ、社歌や運動会で忠誠心を育てる経営者。列挙された日本の「強み」は、いま読むと「そんなことまで褒められていたのか」と気恥ずかしい
「この本は日本では発売禁止にした方がいい」。元駐日大使のライシャワー氏の評だ。日本が思い上がることを懸念したという。ボーゲルさん自身は刊行の狙いをこう説明する。「停滞した米国にとって日本こそ最善の鏡。米国の人々に目を覚ましてほしかった」
その後の日本は、バブル崩壊で失速し、「失われた20年」の間に低迷した。世界1位どころか、経済力はいずれ8位に落ちると予測される。民主主義の度合いは24位、男女格差では121位との指標も。残念ながら、どれもいまの実相だろう
知日派のボーゲルさんが亡くなった。改めて著書を読むと、日本の弱みや将来への懸念も随所に論じられている。人口も経済も縮みゆくわが国に向けた警告の「鏡」でもあった・・・
私も日本の絶頂期を示すものとして、『ジャパン・アズ・ナンバーワン』を引き合いに出しています。当時のアメリカへの警告であり、その後の日本への警告でもあったのですね。