11月23日の朝日新聞「東日本大震災10年へ 放射性雲、どう流れたか」に、原発事故で放出された放射性物質の拡散が書かれていました。
・・・2011年3月、メルトダウン(炉心溶融)を起こした1~3号機の原子炉内からは、大量の放射性物質が何日にもわたり、断続的に大気中に放出された。この気体の塊が「プルーム」。もくもくと立ち昇る煙という意味だ。風で流され、雨にあうと多くの放射性物質を地面に落とす。大気中に出たセシウム137の総量は約1・5京ベクレル、その10~20%程度が陸域に沈着したと推定されている・・・
あわせて、空間線量の低下についても、書かれています。当初予想した以上に早く低下したのです。これが、放射線量が高く、当分の間は人が立ち入ることができない「帰還困難区域」を設定したのにかかわらず、その地域での帰還のための作業ができている理由です。
・・・プルームで汚染された地域も、これまでに空間線量は大幅に下がってきた。
日本原子力研究開発機構などは、原発の半径80キロ圏の線量を定期的に測ってきた。約6500の定点のほか、舗装道路などは車や歩きで、広域や原発周辺はヘリコプターを使う。国が長期目標とする年間の追加被曝線量は1ミリシーベルト(毎時0・23マイクロシーベルト)。2011年と19年を比べると、毎時0・2マイクロシーベルト以下の地域の割合は、17%から84%に広がった。
線量の低下は、まず放射能が自然に減る影響が大きい。計算上は16年までの約5年間で当初の37%まで低下するが、実際に測ると、人の生活に関わる場所ではずっと速く下がっている。特に、舗装された道路の線量は、自然に減る線量の3分の1しかなかった。セシウムが雨などで流されるためだ。人の手が入る農地なども減りが速い。
人の手が入らない公民館の庭のような「平坦地」でも、自然に減る線量の半分だった。セシウムが土の中に浸透し、放射線が遮られるためだ。一方で、森林は自然に減る線量とほぼ同程度に高止まりした・・・