10月4日の朝日新聞「官製ワーキングプア 広がる不安」から。
・・・公務をしているのに不安定で処遇が悪い「官製ワーキングプア」が増えています。コロナ禍で働き方がますます厳しくなっています・・・
・・・全国のハローワークにはコロナ禍の影響を受けた働き手や企業の担当者が集まる。失業手当や雇用調整助成金といった国の支援制度を利用するためだ。困った人のセーフティーネットの役割を果たす国の機関だが、職員には非正規の人がめだつ・・・東日本のハローワークで数年前から相談業務をする40代女性も不安を感じている。職場の相談員の9割は非正規で、みんな自分が「雇い止め」されないか、毎年おびえている・・・
・・・財政難をうけた行政改革のかけ声のもと、公務員の数は全体的に抑えられてきた。一方で行政に求められるサービスは多様化している。現場を支えるために採用されたのが非正規の公務員だ。総務省の調査では、2016年には地方公務員のおよそ5人に1人まで増えている・・・
・・・公務員は「親方日の丸」で高い給料をもらっていると見られがちだが、非正規にはあてはまらない。公務員制度は正規職員を前提にできており、「法の谷間」に置かれた非正規は待遇などが大きく見劣りしていた。 「会計年度任用職員」という新制度が今年4月にスタートし、非正規にも賞与などの手当が払えることが明確になった。それでも、不安定な立場は変わらない。公務員は民間のような雇用契約ではなく、非正規労働者を保護する枠組みの外にいる。通算5年を超えれば無期雇用へ転換を要求できる「5年ルール」も適用されない・・・
・・・コロナ禍は公共サービスの機能が低下していることもあらわにした。国が困っている人や企業にお金を配ろうとしても民間企業の力を借りないとできない。いろいろな支援事業が巨額の税金で民間委託され、その現場を支えるのは非正規労働者だ・・・