読書が作る脳

メアリアン・ウルフ著『プルーストとイカ―読書は脳をどのように変えるのか?』(邦訳2008年、インターシフト )が勉強になりました。プルーストとイカとは、何のことかわかりませんが。読書が、脳を作り替えるという話です。

人類は、見ることや話すことについては、かなり早い段階でできるようになりました。しかし、字を書き、読んで、伝えることができるようになったのは、そんなに昔のことではありません。たかだか6千年程度です。文字を書くことと読むことの遺伝子は、持っていないのです。

では、どうして文字を読むことができるようになったのか。人類は、脳の持っている機能をつなぎ合わせて、字を書き読むことができるようになったと、著者は説明します。言われてみると、なるほどです。読字がどのように人間の脳を変えたのか、古代からの人類の歴史と、子どもの発達という、2種類の時間で説明します。
また、アルファベットのような表音文字と、漢字のようなに表意文字が、脳の別の場所で理解されること、ある種の障害を持つと、脳は別の場所で機能を代替することなどが説明されます。
読字障害者が、知恵の発達が遅れているのではなく、読字機能の脳の発達が他の人たちと異なっているのだと説明します。ダ・ヴィンチ、アインシュタイン、エジソンも、読字障害者だったそうです。

日本の漢字ひらがな交じりの文章を理解する脳の場所は、独特のようです。かつて読んだ、角田 忠信 著『日本人の脳―脳の働きと東西の文化』(1978年、大修館書店)を思い出しました。日本人は、欧米人(欧米語)と違い、脳の別の場所で日本語を理解する。そしてそれは、虫の音と同じ場所だというのでした。その後、この説はどうなったのでしょうか。

文字を読むときに脳のどの場所が活性化するか(どの場所で読んでいるか)はわかるのですが、どのような仕組みで理解するかはわからないようです。脳の機能については、まだまだわからないことばかりだということも、わかりました。参考「読み書きは先天的でなく訓練

青木会長、ピンチをいきなりチャンスにはできない

9月3日の朝日新聞オピニオン欄「ピンチはチャンス9」、青木拡憲・AOKIホールディングス会長の「スーツの行商で生き抜いた先に」から。

・・・ピンチをいきなりチャンスにするなんてことはできっこありません。ピンチはピンチなのです。コロナ禍の中、日本中、世界中の人びとが、100年に一度というレベルの大ピンチの中、七転八倒していると思います・・・

・・・ピンチは続きました。数年後、親が始めた質屋も行き詰まってしまい、大学に行くのを諦め、生きるために質流れのスーツの行商を始めました。19歳から29歳ごろまで、生活のために一着一着、必死で売りました。思えば、人の心をどう理解するのか、資金繰りについてなど、毎日の真剣勝負の中で勉強をさせてもらったと思います。それが今の私をつくってくれました。

まずはどんなピンチの時でも、生きていることに感謝すること。一息ついて、このピンチを抜けるには何年かかるか予測し、その時どうなっていたいかという思いを描くこと。そこに向かって素直な心で人様にお願いし、とにかく今のピンチを切り抜け、生き抜くことです・・・

アルファベットの会社名、回答

アルファベットの会社名」の回答です。

AGC これが正式名称のようです。かつての旭硝子株式会社。これを取り上げたのは、広告でよく見かけるのですが、覚えられなくて。
DIC これも、これが正式会社名のようです。かつての大日本インキ化学工業株式会社。これも広告でよく見るのですが、会社名を覚えられません。

JA 農業協同組合の愛称
JT 日本たばこ産業株式会社の略称
JF 漁業協同組合の略称

JR これは、会社名ではありません。旧国鉄の分割民営化により発足した、北海道旅客鉄道、東日本旅客鉄道、東海旅客鉄道、西日本旅客鉄道、四国旅客鉄道、九州旅客鉄道、日本貨物鉄道の総称です。これを簡単に説明できたら、すばらしい。

李登輝・元総統の政治哲学

9月5日の読売新聞、橋本五郎・特別編集委員の「誠は物の終始なり」は、台湾の元総統李登輝の評価です。
・・・李登輝さんは私が出会った政治家の中で五指に入る偉大なリーダーでした。なぜなのか。
第一に、李登輝さんには信仰がありました。敬虔けいけんなクリスチャンでした。総統という重責を担った期間は「毎日が闘争だった」と振り返っています。
そんな困難な事態に直面したとき、必ず『聖書』を手にし、まず神に祈りました。そして聖書を開いて自分が指さしたところを一生懸命読み、自らどう対処すべきかを考えました。ただその信仰は決して排他的ではありませんでした。「他の宗教を信仰しているなら、その神に祈ればよい」という立場です。

第二に、李登輝さんには哲学がありました。著書『「武士道」解題 ノーブレス・オブリージュとは』(小学館文庫)には哲学的思索の歩みが綴つづられています。青春時代の魂の遍歴過程で最も大きな影響を受けたのは、ゲーテの『ファウスト』と倉田百三『出家とその弟子』、カーライル『衣装哲学』だそうです。『ファウスト』を読み、この世の真理とは大きな愛であることを知ったといいます。

第三は、良き日本人の精神を持っていたことです。李登輝さんは、台湾でもっとも愛されている日本人の一人、八田與一さんを通して日本精神を説明しています。八田は灌漑かんがい事業で不毛の地を豊かな農地に変え、台湾の農民に希望を与えました・・・

・・・政治的リーダーについて李登輝さんがもっとも強調したのは「誠」でした。中国の古典『中庸』には「誠は物の終始なり。誠ならざれば物なし」とあります。一切は誠から始まり、誠に終わる。誠は一切の根元だという意味です。李登輝さんにとって誠とは「相手にわかる言葉で説く」ということです。
李登輝さんは「私は権力ではない」という権力観の持ち主でした。権力とは困難な問題の解決や理想的な計画を執行するための道具にすぎない。それは一時的に国民から借りたもので、仕事が終われば返還すべきものである。いつでも手放す覚悟がなくてはいけないのです・・・

アルファベットの会社名

アルファベット単語」の続きです。アルファベット単語は、どの程度答えられましたか。
アルファベットは、会社の名前にも増えました。それも、名称と言うより、略称のような名前です。それぞれ知恵を絞って考えられたのでしょうが、一般の人にどこまで覚えてもらっているでしょうか。次の会社名を答えてください。

AGC
DIC

JA
JT
JF

JR(これは、意外と難問です。説明してみて下さい)
回答は次回に