コロナウイルス、半年でわかったこと

コロナウイルスの感染が収まりません。
私は毎朝、NHKのウエッブサイトで、感染者数の棒グラフを確認しています。このグラフがわかりやすいです。第二波が少し収まりつつあるのかなと思ったら、そうは簡単ではないようです。

また、この半年間でわかったことを、整理しています。これも、私たちの知りたいことをまとめています。
致死率、重症化」では、当初考えられたほどは危険でないようです。季節性インフルエンザより「弱い」という説もあります。もっとも、治療薬と予防薬がまだ開発されていないので、そこがインフルエンザとの違いです。

ツバでうつるのが多いようです。普通の生活をしていると、うつらないようです。しかし、自覚症状なしの感染者も多いようで、これは困りますね。

複写機で苦境が突破できる?

地下鉄の車内広告を見て、疑問に思ったので、インターネットで見てみました。富士ゼロックスの新商品の宣伝動画です。
ピンチを迎えた経営者たち(そう発言しています)に向かって、上司(?)がビジネス戦術を見直し、前進するという話です。地下鉄内広告よりインターネットの方が、長いようです。

疑問その1は、登場人物が、上司を含めほとんど白人であることです。日本人らしき人と黒人もでてきますが。そして、見るからに外国人らしい人が、日本語を話します。
これは、この会社の宣伝だけでなく、他の会社の宣伝にも目立ちます。なぜ、日本人ではないのでしょうね。あるいは、アジアの人たちではないのでしょうね。

疑問その2は、「ビジネス戦術を見直して立ち向かおう」と主人公は発言します。そして、新しい複写機を入れ、ピンチなった業務がよくなるぞとハッパをかけます。それを聞いて、経営者たちが、光に向かって駆けだしていきます。
私も複写機にはお世話になっています。しかし、経営者たちが悩むような事業の苦境が、複写機を変えただけで乗り越えられるとは思いません。
富士ゼロックスの幹部は、このような話を信じているのでしょうか。宣伝だからこんなものだと、思えばよいのでしょうか。

連載「公共を創る」第55回

連載「公共を創る 新たな行政の役割」の第55回「日本は大転換期―満足しても現れる問題」が、発行されました。
成熟社会日本の問題。前回までで、豊かさや自由といった憧れが実現すると、成長の低下、目標の分散、孤独、責任などを生んだことを指摘しました。
今回は、満足したことによる問題や、経済的豊かさを追求したことによる問題などを取り上げます。

世論調査では、多くの人が生活に満足し、9割が中流だと答えています。それは結構なことですが、「上」を目指すことなく、「中」で満足しているとも言えます。
また、満足したことで、現実を見ることがおろそかになったようです。社会全体としては豊かになったのですが、貧困に悩む人はいなくなっていません。それどころか、豊かさの陰で経済格差は広がっていました。
満足は、現実にある問題を覆い隠し、またさらなる挑戦を忘れさせるという副作用がありました。
そして、他人と同じことさえしておれば、うまく行くという、依存心をも広げました。
社会の課題に取り組まない、公共の問題に取り組まないという、社会参加意識と政治参加意識の低下も招きました。

安倍首相の保守主義と時代

朝日新聞の「論座」、宇野重規・東京大学社会科学研究所教授の「戦後の保守本流と異なる安倍首相の保守主義が日本政治にもたらしたもの 分断の時代に適合したナショナリズムと政府主導の経済運営のミックスで長期政権を実現」(9月7日配信)から。

・・・これら三つの派閥のうち、高度経済成長期からそれ以降にかけて優位だったのは、経世会と宏池会の連合であった(田中角栄と大平正芳の親密な関係に象徴される)。清和会の流れは、劣位に立たされ続けた。
背景にあったのは経済成長と冷戦体制である。そのような時代においては、強いナショナリズムへの志向を持つ清和会よりも、経済主義的で公共事業による再分配を得意とした経世会・宏池会連合の方が適合的であった。
こうした状況が大きく転換したのが、1989年の冷戦終焉であった。アメリカの軍事的支援を自動的に期待できた時代は終わり、日本は独自の安全保障政策を求められるようになった。この時期、バブル経済の崩壊によって経済成長の時代が最終的に終わりを迎えたことと合わせ、戦後政治の「大前提」が大きく崩れたのである。

1990年代は「政治改革」の時代になったが、この時期に経世会が分裂し、宏池会の存在感が次第に低下したことは偶然ではないだろう。アメリカの軍事的支援の下、経済に専念することができた戦後日本の「保守本流」の時代は、「大前提」が崩壊によって終わりを迎えたのである。
2000年以降には、森喜朗、小泉純一郎、安倍晋三、福田康夫と清和会出身の首相が続く。これらの首相の個人的プロフィールや政治理念は様々であるが、経世会が分裂し、宏池会が地盤沈下したことの必然的な結果であった・・・

・・・議論をまとめよう。
安倍首相による長期政権には、一定の歴史的必然性があった。安倍首相の保守主義は、冷戦と経済成長を前提とした戦後日本の「保守本流」に代わるべき、より対立的で攻撃な保守であり、中国の大国化などによって緊張感を増す東アジアにおいて、日本のナショナリズムに強く訴えるものであった。
ただし、このナショナリズム色をより前面に出した第1次政権が短命に終わったように、ナショナリズムだけでは長期政権は不可能である。第2次以降の政権を長続きさせたのはアベノミクスから「一億総活躍」に至る、安倍政権の「擬似左派的」な社会経済政策であった。それが戦前の革新官僚であった岸元首相に遡るものかはともかく、金融緩和と財政出動がデフレ状況を克服するにあたって、一定の効果をもったことは間違いない。
つまり、安倍首相の長期政権を可能にしたのは、ナショナリズムと政府主導の経済運営の独特なミックスであったと言えるだろう。この両者を一身に体現する存在として、安倍首相がきわめて「時代適合的」であったことは間違いない。
逆にいえば、安倍首相が退任を決めた今、はたしてこのミックスが持続可能かはわからない。二つの柱のどちらか一つでも崩れたとき、安倍政権を長期化させた基盤もまた失われることになる。

わけても、保守主義を標榜する安倍政権の下で、皇室のあるべき姿や日本の近代史をめぐる議論が進展しなかったことの代償は大きいだろう。保守主義の要諦である歴史的連続の感覚や、それを支える安定的な政治体制の確立は、安倍首相の長期政権をもってしても実現できなかった。むしろ議論の分極化や世論の分断が進み、コンセンサスから遠ざかったというのが、安倍政権の長期化の所産であったのではないか。
そのような状況において、いよいよ日本社会は未曾有の少子高齢化を迎える。国債の累積残高もついに900兆円を超えた。高度経済成長の遺産を食い尽くした日本の前に、いよいよ厳しい未来が待っている・・・

子供が学校に行きたくないと言ったら

9月1日の日経新聞夕刊「不登校の兆しが見えたら 接し方見直すきっかけに 精神科医・宮島賢也さんに聞く 否定せず、冷静に耳傾け」から。

・・・子供が「学校に行きたくない」「今日は休みたい」と言い出したらどうすればよいか。学校に行き渋る、病院を受診しても異常がないといった小さなサインがあったら親は接し方を見直そう。自身がうつ病を克服した経験のある精神科医、宮島賢也さんの助言を日経BPの共働き世帯向け情報サイト「日経DUAL」から紹介する・・・

・・・絶対に避けたいのは子供を叱ること。つらい気持ちを抱えているのは子供自身。親からも問い詰め、責められると「自分の気持ちを分かってくれない」と心を閉ざし、逆効果だ。
その日の登校より大切なのは、まず安心させてあげることだ。親が心から受け入れ、学校に行かなくても大事な我が子であることに変わりないという姿を見せれば事態は好転していく。

不登校や行き渋りの兆候が表れると、親は理由を特定し、その原因を取り除けば変わると考えがち。しかし、仮に友達とのトラブルなど直接のきっかけがあっても、それは単なる表面上の原因で、根本原因ではない。友達とのいざこざは子供の成長につながる試練という場合もある。親が介入し解決しても再び同様の問題が起きたときに乗り越えられず、不登校や別の形で問題が噴出することもある。

根本の原因は子供が本来の自分を見失い、物事を悲観的に捉える癖が付いて生きる力が弱まってしまっていることだ。心は3層構造で顕在意識、潜在意識のさらに下に「本来の自分」があると考えられている。親は本来の自分を引き出すサポート役に徹してあげてほしい。心の癖が改善し、生きる力も回復するはずだ。
自分が本当に安心できる環境がないと本来の自分は引き出せない。親が心掛けるポイントは5つある・・・

・・・4つ目は夫婦関係を見直すこと。子供の不登校に相談に来る親の約9割は「夫婦関係」に問題を抱えている。本来、子供が安心して過ごせるはずの家が不安な場所になると、心配で学校に行けなくなる。夫婦の関係がこじれていると、関心が子供に集中し、窮屈な気持ちになる場合もある・・・

子供が「学校に行きたくない」と言い出したら、親はどうしてよいか困りますよね。原文をお読みください。