連載「公共を創る」第54回

連載「公共を創る 新たな行政の役割」の第54回「日本は大転換期―憧れを手に入れ現れた閉塞感」が、発行されました。
成熟社会日本の問題、前回は、手に入れた自由が重荷になることをお話ししました。今回は、自由になると「私は何者か」という悩みが出てくることを説明します。

伝統社会では、生まれた家で、あなたの人生が決まりました。学問、職業、結婚は、親を見ると想像できました。しかし、家や中間集団に縛られなくなると、どのような職業を選ぶか、どのような人生を送るかを考えなければなりません。自分は何者かを、考える時間ができ、考えなければならなくなりました。これも、しんどいことです。

さて、豊かで自由を手に入れた日本。昭和時代より、平成時代や令和時代の方がはるかによくなったのに、元気がありません。それは、憧れを手に入れたことによります。憧れを目指して努力する、そしてそれが徐々に実現することで、喜びが得られ、元気が出たのです。では、次の目標は何か。そこが難しいのです。