8月16日の日経新聞風見鶏、山内菜穂子・政治部次長の「少子化対策 失われた30年」から。
・・・少子化が止まらない。1人の女性が一生に生む子どもの平均数を示す2019年の合計特殊出生率は1.36と4年連続で低下、12年ぶりの低水準となった。出生数は予想より早く90万人を割り込み「86万ショック」という言葉もうまれた・・・
・・・日本の少子化対策の起点は30年前に遡る。1990年、前年の出生率が調査開始以来最低となる「1.57ショック」が起きた。その後、バブル経済が崩壊。政府は経済や高齢化問題に注力し、大胆な少子化対策を出せないまま時間が過ぎた。
「この30年は一体、何だったのか」。自民党が6月に設置した少子化問題のプロジェクトチームで厳しい意見が相次いだ・・・
・・・孤独な子育て、子育てと仕事の両立の難しさ、不安定な雇用―。コロナ禍で露呈した不安は、政府のこれまでの少子化対策の根本的な弱点と重なる。
少子化は、政治が子育て世代やこれから家族をつくる若い世代の不安を解消できなかった結果でもある。危機に左右されることなく、失われた30年を見つめ直す作業こそが「86万ショック」からの第一歩となる・・・