愚行の歴史

6月14日の朝日新聞、日曜に想う、福島申二・編集委員の「あるべきアメリカ 求める人々」から。

・・・アメリカとは、最高裁判所の長官がこんな名言を残す国でもある。
「私はいつも新聞をスポーツ面から開いて読む。そこには人間の成し遂げたことが載っている。1面は人間のしでかした失敗ばかりだ」
ことばの主、故アール・ウォーレン氏は米司法界の大重鎮で、ケネディ大統領暗殺を調査した「ウォーレン委員会」にもその名を残す・・・

コロナウイルスの免疫

先日、コロナウィルスの免疫はまだまだ広がらないという記事を書きました。「コロナウイルス陽性率
今日のNHKニュースでは、抗体保有者まだ0.1%です。

・・・厚生労働省は、今月1日から7日にかけて人口が一定規模ある地域のうち、10万人当たりの感染者数が最も多い東京と大阪、最も少ない宮城の3都府県で、無作為抽出した20歳以上の男女合わせて7950人を対象に、新型コロナウイルスの抗体検査を実施しました。

新型コロナウイルスに感染したことがあるかどうかを調べる抗体検査について、今月、厚生労働省が3都府県でおよそ8000人を対象に実施したところ、抗体を保有していた人の割合は東京都で0.1%、大阪府で0.17%、宮城県で0.03%だったことが分かりました・・・

0.1%ということは、99.9%の人が、まだかかっていないということです。世間話で99.9%と言うと、「まずない」という意味ですが。でも、東京都の人口を1400万人とすると、1万4千人は抗体を持っているということですね。

野党の役割

6月13日の朝日新聞オピニオン欄、国際政治学者の・原彬久さんへのインタビュー「安保60年、続く対米依存」から。本筋とは離れますが。
――野党勢力は60年安保から何を学んだのでしょうか。
当時の最大野党は日本社会党です。安保改定を阻止できなかったのに大衆運動が高揚したため、なにか勝利したかのような気分が生じてしまった。その高揚感の残像が災いしました。
社会党が総選挙で取った最大議席は、岸政権下の58年5月の166議席です。岸が60年7月に退陣し、その4カ月後の11月に総選挙がありました。直前に社会党委員長の浅沼稲次郎が暗殺されるというテロがあった。安保の高揚、社会党への同情票への期待など、有利な要素はあったのに、145に議席を減らした。経済重視に転じた自民党に勝てなかった。
非常に象徴的です。60年代の日本は高度成長時代で、労働者は豊かになり、中産階級意識を持つようになります。しかし、社会党は労組頼みの社会主義政党から脱皮できなかった。60年に社会党から分裂した民社党も伸びず、資本主義の枠内での『構造改革』を目指した江田三郎らの動きも行き詰まりました。

――これは単なる昔の話ではありませんね。日本では、なぜ野党が育たないのでしょうか。
野党自体の責任に加えて、国民の意識やメディアにも問題があると思います。我々日本人には依然、『寄らば大樹のかげ』の意識が強いのではないでしょうか。自民党が国民の要望を幅広く吸い上げる包括政党になったため、野党には政権批判だけを期待する。野党を育てて政権を任せようとは考えない。
メディアも政党間の違いばかりを強調する。むしろ違いが大きくないから政権交代が可能なのです。交代することが権力の腐敗を防ぐのです。いつでも政権交代できる相手の存在を認めながら、譲ってなるものかと争うのが、本来の政党政治でしょう。

テレワークの課題

6月10日の読売新聞、椎葉怜子・日本テレワーク協会客員研究員の「テレワーク もっと広がれ」から。

・・・テレワークの一番の悩みは働き過ぎ、いわゆる「隠れ残業」です。まじめな人ほど頑張ってしまいます。
過重労働を防ぐには、パソコン電源のオンとオフの時間を確認することや、ストレスチェックの強化が有効です。メールやメッセージの送信時間を制限している会社もあります。終業時間後や休日には、不要不急の連絡をしないようにするべきです。

私は自分で作ったウェブ制作会社で深夜まで働くうちに、こんな長時間労働では女性のキャリアは絶望的だと感じました。女性の働き方を支援する会社を設立し、長時間労働や働く場所の制約について考えていた時にモバイルワークに出会い、テレワークを広げる必要があると思いました・・・

・・・日本はその場の空気を読みながら仕事をする習慣があるので、会社にいないと「何もしていない」「会社への貢献が足りない」という恐怖心が生まれやすい。欧米では求める能力や仕事の範囲を明確にする「ジョブ型」の雇用が主流で、会社にいなくとも成果を出せば評価されます。人事評価の方法が課題になります。
テレワークは社員同士が感情面のつながりを保ちにくいという問題もあります。雑談でアイデアやイノベーションが生まれることもあるのですが、チャットやメール、ウェブ会議は基本的に用件が中心です。
また、「テレワークだと(部下が)さぼっているのではないか」と疑心暗鬼に駆られる管理者は多いです。パソコンの画面や利用状況を監視できるソフトもありますが、利用を前提とせずにコミュニケーションのあり方を再設計してほしいです・・・

外国籍の子に学びを

6月9日の朝日新聞オピニオン欄、中川郷子・臨床心理士の「外国籍の子に学びを」から。
・・・日本の公立小学校で、発達障害などと診断され特別支援学級に入る外国人の子どもが目立つ。なぜそんなに多いのか。ブラジル人が多く暮らす地域を毎年訪れ、「デカセギ」の子どもの教育問題を調べてきたブラジル在住の臨床心理士中川郷子さん(63)が、この問題のからくりと、日本の将来にもたらす影響について語った・・・

・・・調べてみると、日本人の子どものうち特別支援学級に在籍する生徒の割合は全体の2~3%なのに、外国人の子どもでは5~6%にのぼることがわかりました。
実態を調べるために、特別支援学級にいた日系人の子どもたちに、日本語とポルトガル語がわかる私が知能検査などを行いました。すると、発達障害の疑いがない子が半数ほどいたのです。
文の構造が理解できるなど、学習言語が身についていないと思考力が育たないことや、ポルトガル語で覚えたことはポルトガル語でしか答えられないなどの事例があります。
日本語の指導が必要な子と発達障害を一緒に扱い、必要なケアを受けさせていません。私がみた子どもの中には、ただ、ひたすら花に水やりをしている子もいました。これは外国人の子の『隔離』であり、人権侵害といえるケースもあります。日本語の指導教員が日本語を教え、授業がわかるよう支援すべきなのに、通常学級でほかの子の邪魔にならないように、特別支援学級に入れている面もあります・・・

・・・一般的には、移民の第2世代は親より良い仕事に就くことが多いのに、日本にデカセギに来たブラジル人の子どもは、工場労働者のままです。さらに次の世代の子どもたちは、発達に障害があるとされ、世代を経るにつれ社会階層も学歴も落ちています。このままでは、深刻な社会問題を引き起こします。社会に貢献できる人材を育てることは、高齢化で労働者が不足する日本社会にとって重要なのに、です。
両親が一日中工場で働き、ブラジル人用の認可外保育施設などに預けられている子どもが多くいます。おもちゃもなく、必要な年齢に必要な刺激を受けておらず、十分な食事もとれていないので発育が遅れています。親たちも望ましい教育を受けておらず、子どもの扱いも分かっていません・・・

・・・保育園や幼稚園、小学校などをいくつも見てきましたが、『外国人の子どもを受け入れよう』という制度もマインドもありません。教室に座っていれば自然に日本語を覚え、日本社会に溶け込めるわけではありません。第2外国語として日本語を教えられる先生を置くなど、外国人の子どもを受け入れるインフラ整備が必要なのに、外国人は義務教育の対象にさえなっていません。
将来的に生活保護を受ける外国人が増え、日本社会の負担となっていくでしょう。社会の隅に追いやられ、非行に走り、犯罪も増えるかもしれません。いちど生活保護になったら、そこから抜け出すのは容易ではありません。魚を与えるのではなく、魚の取り方を教えるべきです。『外国人のためにやってあげる』と考えるのではなく、日本社会のために受け入れが必要なのです・・・