野口雅弘著『マックス・ウェーバー』(2020年、中公新書)を読みました。新書版という大きさに、ウェーバーの人生と学問が、切れ味良く整理されています。専門家はもっと分厚い本を読むのでしょうが、一般人には新書版はありがたいですね。内容は、本を読んでいただくとして。
私の学生時代は、マルクス経済学が下火になり、ウェーバーが一つのはやりでした。『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』は必読書でした(実は、当時読んでもよくわからなかったのです。後に飛ばし読みしたら、わかるようになりました)。『職業としての政治』も。
理念型(イデアルティプス)。近代の合理性、官僚制。信条倫理と責任倫理。正統的支配の「合法的支配」「伝統的支配」「カリスマ的支配」の3つの類型。価値自由(これは「没価値」と訳されていて、私は長らく誤解していました)。
ところで著者の野口先生は、訳語に注意を払っておられます。『職業としての政治』を『仕事としての政治』と訳しておられます。この本でも、「没価値」を「価値自由」と、「心情倫理」を「信条倫理」と、「脱魔術化」を「魔法が解ける」と訳した方がよいと書いておられます。なるほどと思いました。