福島の漁業再開への歩み

5月11日の読売新聞「大震災再生の歩み」は「漁業復活の潮目は」でした。
福島の沿岸漁業は、原発事故後、魚の安全を確認しながら操業を広げてきました。今年、すべての魚種で制限が解除されました。しかし、漁獲量は回復せず、昨年は前年を下回りました。

・・・主力のコウナゴの不漁に加え、賠償の仕組みが影響している、との指摘もある。賠償されるのは事故前と現在の収入の差額だ。漁獲に関係なく、同じ収入が確保される。

市場の受け止めも変わりつつある。県産水産物の東京・豊洲市場への入荷量は昨年、築地市場時代も含めて震災後最低の2638トンだった。「各店共通の売り方をするチェーンの場合、数量が少ないと使いづらく、敬遠する」と指摘するのは、外食大手の仕入れ担当幹部。県水産加工業連合会の小野利仁会長は「仲買が安定した量の魚を確保できず、流通網が弱体化してしまった」と嘆く・・・

記事にはグラフなども付いて、わかりやすいです。記事をお読みください。
読売新聞は毎月11日に、大震災復興記事を掲載してます。ありがとうございます。

ピンチをチャンスに、アイリスオーヤマ

NHKウエッブニュースが、「“コロナ後”の消費者ニーズは アイリスオーヤマ 大山晃弘社長」を載せています。
・・・新型コロナウイルスで大きな危機に直面する日本経済。しかしその危機をチャンスととらえ、新たなビジネスを模索する動きもある。生活用品メーカー「アイリスオーヤマ」。大山晃弘社長は深刻な品不足が続くマスクの国内生産をいち早く決めたほか、“アフターコロナ”を見据えた商品開発を次々と進めようとしている。未曾有のコロナ危機をどう捉え、その先にどんな世界を見据えるのか、奇抜な発想で成長を続ける会社のトップに話を聞く・・・

大山社長
「いまコロナの影響で、売り上げは非常に伸びています。特にマスクを中心とした衛生用品が伸びています。また巣ごもり消費によって、保存のきく食料品、テレワークに使う液晶モニターやシュレッダー、それにパソコン用デスクといったものが非常に伸びています」

新型コロナウイルスの感染拡大で大きく注目されたニュースがある。品不足が続くマスクを国内の工場で生産するという発表だ。
もともと中国の自社工場で生産していたが、6月から宮城県の工場でも生産を始め、7月には月1億5000万枚を供給する。価格が高騰する不織布などの原材料から国内で一貫生産する計画だ。
思い切った決断の背景には、9年前の東日本大震災の経験がある。
大山社長
「東日本大震災のときに企業として大きなダメージを受けました。地域社会も影響を受け、消費構造が大きく変わりました。そのときにわれわれは一気にLEDや食品事業に進出し、個人消費の変動を捉える経営に踏み切りました。その経験が今回生きたと思っています。中国・武漢でコロナウイルスが流行したときに、いち早く中国でマスクの増産を決定し、春節という中国のお休みを全部つぶして一気にマスクの増産を図りました」
大山社長は、中国の工場から寄せられる情報をもとに、国内でもマスクの需要が高まると予測し、増産に必要な行動を直ちに起こした。未曾有の危機では経営判断のスピードが何よりも重要になると強調する。

アイリスオーヤマは中国に9つの自社工場を持ち、家電製品や家具など幅広い商品を生産している。人件費が安いだけでなく、部品の供給などが受けやすいからだ。
しかし大山社長は、その中国にも変化が現れ始めていると指摘。世界のもの作りは徐々に国内回帰が進むとみている。
大山社長
「中国の意味合いは変わってくると思います。もちろん、中国が世界の工場であることは変わらないと思いますが、今回のマスクのように自動化しやすく、生産性が高い商品については、それぞれの国に生産拠点が戻っていくのではないでしょうか。中国は毎年のように人件費などのコストが上がっています。今回のような政策の大きな変更があれば、輸出の規制が大きく変わってしまうリスクもあります。生産設備の効率が非常に上がっているので、中国で製造する意味が薄くなっています。日本やアメリカ、ヨーロッパなどの一大消費地に向けて工場が一部戻っていくと思います」

原発被災地での農業再開拡大

5月9日のNHK福島が、「浪江町で田植え、作付け3倍に」を伝えていました。
・・・東京電力福島第一原発の事故の影響が続く浪江町で、田植えが始まりました。
ことしから使われていない農地の持ち主と規模拡大を目指す農家のマッチングが始まり、作付面積は去年のおよそ3倍になる見通しです・・・
・・・浪江町とJAは、ことし、避難を続けるなどして農地を活用できず貸し出したい持ち主と、規模拡大を目指す農家をマッチングする取り組みを始めました。
こうした結果、ことしの浪江町でのコメの作付面積は、去年のおよそ3倍の80ヘクタールほどになる見通しだということです・・・

被災地での農業再開の課題は、高齢になった農業者が多く、再開しない場合が多いことです。そこで、それらの農地を借り上げて、意欲のある農業者に貸し出すこと、その組み合わせをすることです。参考「被災地での農業復旧状況

読めそうもないほど本を買う

毎度おなじみの話題です。
肝冷斎が、読めそうもないのに、本をたくさん買っています。本の山の写真付きです。
彼の生息地である古本屋が営業自粛中なので、インターネットを使っているそうです。しかも、好きで買っていながら、私にその責任をなすりつけています。

といっても、私も人のことを批判できません。読んでいる本に引用されていたり、書評を見たりして、読みたい本が出て来ます。アマゾンで買うと、数日で届きます。
数ページ見ると満足して、本の山の上に積みます。私の場合は肝冷斎と違い、もう少しきちんと積み上げてあります。そうしないと、崩れてくるからです。

紀伊国屋新宿本店が、平日に限り再開しました。区立図書館の貸し出しが再開されると、うれしいのですが。
背徳の楽しみ、未読書の山

幅広い人脈作り

日本経済新聞夕刊「人間発見」5月7日から、前田匡史・国際協力銀行総裁の「出すぎる杭 世界を駆ける」です。第1回目から。

・・・昨年度の海外出張は15カ国へ計116日。年の3分の1は海外にいます。直近はインドネシア、中国と飛び、スイスでは世界経済フォーラム(WEF)のダボス会議で登壇。その後、米ワシントンとメキシコに向かいました。米国産の天然ガスをメキシコ湾経由でアジアに運ぶ構想を協議しました。
トップになっても人と直接会うことを大事にしています。ワシントンではトランプ氏の娘婿クシュナー上級顧問をホワイトハウスに訪ねました。大統領の信頼が厚く重要案件を差配するさまを目の当たりにしました。
2度のワシントン駐在で築いた人脈のおかげでトランプ政権にも知人が多くいます。少し前に大統領の長男、ドナルド・トランプ・ジュニア氏とも食事しました。トランプタワーに住む旧知のインド人の仲介です・・・

・・・守備範囲を超えると言われそうですが、若いころ「出る杭は打たれるが、出すぎる杭は打たれない」と励ましてくれた先輩がいました。おかげで保守的な銀行にあって型にはまらず、世界中にネットワークを張ることができました。日本の情報収集力や発信力はまだ十分ではありません。自分が役に立てることもあると思っています・・・

朝日新聞のウエッブ言論サイト「論座」、牧野愛博・朝日新聞編集委員の「岡本行夫さんが遺した言葉」(2020年5月8日)に、次のような文章があります。
・・・岡本さんも1991年までは外交官であり、公僕であった。ただ、当時から異色の外交官と言われていた。
外務省の後輩の1人から岡本さんらしい逸話を聞いたことがある。北米一課長時代、岡本さんはいつも外出していた。記者はもちろん、外務省の同僚たちも岡本さんを探し回っていた。外部で政治家や外交官、様々な人と会っていたらしい。岡本さんは課長席に背広をいつもかけておき、「在庁中」というアリバイを作っていたという・・・