鎌田先生解説、ウェゲナー著『大陸と海洋の起源』

鎌田浩毅先生が今度は、ウェゲナーの『大陸と海洋の起源』(2020年、講談社ブルーバックス)の解説を書かれました。本文は、竹内均先生が1975年に翻訳されたものです。
大陸が移動するという話は、現在ではみんなが受け入れています。しかし、ドイツの科学者ウェゲナーが1915年に原著を出版したときは、荒唐無稽な説として相手にされませんでした。半世紀後に認められ、復活したのだそうです。ただし彼は、1930年に亡くなっています。

鎌田先生によると、この本は 科学の古典なので、「古典らしく」とても読みにくい本だそうです。そこで、先生の解説が役に立つのです。P348に、科学の古典の読み方が指南されています。
科学の古典を、私たちは常識として受け入れていますが、その多くは、当時としては通説に刃向かう「異端」でした。なぜ、彼は通説を疑ったのか。そして、どのようにして通説を覆したのか。そこには、ドラマと苦労があります。コペルニクスもガリレオも、ダーウィンも。

武田信玄は「動かざること山のごとし」を掲げましたが、「造山運動」という言葉があるように、地球科学者は「ゆっくり動くこと山のごとし」と考えているのだそうです。信玄公も私たちも、1年とか10年の単位で、山を見ていますからね。
ウェゲナーの大陸移動説から、プレート・テクトニクスという「地球科学の革命」が誕生したこと、さらに地球科学は発展していることも、解説されています。20世紀の地学、いえすべての地学の中での、革命的発想だったのですね。