数値による問題点の指摘。部分と全体と

3月2日の読売新聞1面は、「復興住宅、孤独死243人…高齢・単身者の入居多く」でした。詳しくは記事を読んでいただくとして、復興住宅での孤立防止、自治会やつながりつくりが、次の課題です。これは、国が直接できることではなく、現場での住民や自治体の活動、NPOの支援が必要です。

ところで、この243人(3県、7年間累計)。大きな数字ですが、孤独死は復興住宅だけの問題ではなく、全国的な問題です。全国では年間2万7千人との推計もあります。他の地域の公営住宅などと比べ、発生率が高いのかどうか。この記事だけでは分かりません。大まかに言えば、高齢者の数に比例すると思われますが。

新型インフルエンザについても、同様の問題があります。今回の新型インフルエンザは、旅客船での患者を含めて千人近くの患者と、10人を超える死者が出ています。
これを例年のインフルエンザと比較してみます。厚労省によると、例年のインフルエンザの感染者数は、国内で推定約1000万人いると言われています。年間の死亡数は214人(2001年)~1818人(2005年)です。
また、直接的及び間接的にインフルエンザの流行によって生じた死亡を推計する超過死亡概念というものがあり、この推計によるインフルエンザによる年間死亡者数は、約1万人と推計されています。

まだ薬ができていないので、例年のインフルエンザと比べるのは問題がありますが。この数字を見る限り、「とんでもなく恐ろしい病気」とは言えないようです。「いつものインフルエンザと同程度に注意しましょう」というのは、素人の考えでしょうか。
今年は、国民が注意しているので、国立感染症研究所によると、例年に比べインフルエンザ全体の流行は低いようです。とはいえ、高齢者や持病を持っている人にとっては怖い病気です。注意しましょう。

心を病む官僚たち

NHKウエッブニュース「心身病む官僚たち」を紹介します。残念ながら、昔も今も、心の病を発する公務員が、ある程度います。近年は、かつてより増えているようです。
拙著『明るい公務員講座』でも、私の経験を元に、それを防ぐ方法を書きました。一人で悩まずに、誰かに相談すること。周囲の人が、早く気づいて相談に乗ることです。

北村亘・大阪大学教授が、次のように指摘しておられます。
「この2~3年での仕事の変化を尋ねたところ、『業務量が増えている』『複雑化、高度化している』という回答が全体の7割に上りました。確かに補正予算を組む回数も増えているし、社会課題も複雑化しています。また、大規模な災害も多くなっているのに、職員は減っているという事実があります。状況は厳しくなっていますね」
「さらに調査で注目すべきは、『社会のために犠牲を払う覚悟がある』と答える人が7割以上に上る一方で、『官僚の威信は低下している』という回答は全体の9割に上る点です。公共への奉仕に燃える職員は必死なのに報われず、社会的にも評価が低いと感じる官僚が多いのではないでしょうか」

この指摘には、私も納得します。調査結果によるグラフもついています。ご覧ください。

大震災から9年、報道

3月11日が近づいてきました。報道各社が、特集を始めています。
朝日新聞が、3月3日から特集「東日本大震災9年」を始めました。第1回は、まち復興で「まち再生へ、手探り続く」です。
3県の人口、観光客数、水揚げ金額の、被災前との比較がついています。分かりやすいです。
陸前高田市では、かさ上げした町が、まだ空き地が見だつことを取り上げています。仙台市では、復興住宅がかんせいしたものの、自治会を続けることの難しさを取り上げています。

ところで、陸前高田市の記事には、町を映した航空写真もついています。実は、朝日新聞は、2月17日の一面に、「街は整う、人は戻らない 大規模かさ上げの陸前高田」という記事を載せ、そこに同様の航空写真もつけました。
その際の写真は、町の中心部に作られた大型店舗などを外した、空き地ばかりの土地でした。今回の写真は、前回外された、店舗が建っている町の中心が写っています。同じ町とは思えない写真です。

ピーター・メイル「南仏プロヴァンスの25年」

ピーター・メイル著『南仏プロヴァンスの25年』(2019年、河出書房新社)を読みました。
メイルさんの『南仏プロヴァンスの12か月』が出たのは、1993年のようです。私も引きつけられ、類書も読みました。確か、NHKで放映されたと記憶しています。ビデオにも撮りました。
プロヴァンスブームに火がついて、はや30年になるのですね。懐かしくなって、本書を手に取りました。

この本も、軽妙洒脱な文章で、プロヴァンスの風土や、そこを訪れる外国人たちの生態を、面白おかしく紹介しています。
メイルさんは、「25年」を書いて、お亡くなりになったそうです。今頃、空の上から、満足そうにプロヴァンスを眺めておられるでしょう。

これまでにない分野を切り開き、多くの人に喜んでもらえる。それは、仕事冥利です。
もちろん、英語の通じないフランスの片田舎に移住して、様々なご苦労もあったのでしょうが。それを笑って表現するところが、みんなに愛される秘訣でしょうね。

世界企業、日本支社は「仲良し過ぎる」

世界企業、日本支社は最も長時間労働。原因は会議とメール」の続きです。
・・・業務時間が長い原因を調べてみると、会議に問題があることがわかった。
「1時間が標準で、召集メンバーも多い。そこで、ワーク・ライフ・チョイス・チャレンジが始まった7月の社員総会で『会議時間は30分を基本とし、人数は最大5名まで』・・・と呼びかけました」・・・

日本マイクロソフト、「会議は基本30分で5名以下」や「社内メールではなくチャットに」を全社員に通達」(2019年7月23日、Impress Watch)には、次のような文章もあります。
・・・具体例の1つ目は「会議設定は基本30分を標準」。同社社員が実施する会議の多くが明確な理由なく習慣的に60分間で設定されるケースが多く、社内調査からMicrosoftグローバルの平均と比べ30分間の会議が約半分しかないという。会議の内容や参加人数などで30分では不十分な場合もあるが、習慣的な「60分設定」を30分に変革していくことで、会議の時間の使い方改革に取り組むという。

2つ目は「会議の参加人数は、多くて5人で」。調査の結果、同社社員の実施する会議は、グローバル平均よりも11%参加者が多く、参加が必須ではない会議に多くの社員が参加しているという。とくに、日本ならではの特徴として会議に3階層(本部長/マネージャー/現場社員など)で出席したり、チームの同僚が複数名で同じ会議に参加したりするケースが多く見られ、この状況を改革するため、会議の参加人数は「多くて5人まで」を基本とする。
会議内容や生産性、創造性の観点から、あえて6名以上の会議を選択することも可能だが、全会議において主催者は参加必須者を明確にするという。会議通知メールにCCや「任意参加」で入れて「よろしければ参加を」のような招待も極力避けるという・・・

社員の言葉を借りると、「日本法人は仲良し過ぎる」というのです。
会議が長いことともに、参加者が不必要に多いのです。これは、役所にも当てはまります。電子メールのCCの数もです。
皆さんも、参考にしてください。