「ひとり空間の都市論」

南後由和著「ひとり空間の都市論」(2018年、ちくま新書)を読みました。連載「公共を創る」で、平成の社会の問題の一つとして、「孤独」を取り上げています。その関心の延長です。

「おひとり様」と呼ばれる現象を、いくつかの角度から分析しています。冒頭に漫画「孤独のグルメ」が出た後、住まい、飲食店、モバイルメディア(ウオークマンからスマートフォンまで)などが取り上げられます。統計による分析ではなく、現象を捉えた、社会論、都市論です。

都市が人を自由にし、また一人で生きることを可能にします。江戸時代から、都市には独り者が多かったようですが。さらにその独り者が増え、そして生活しやすくなりました。
単身者が増える。そのような人を対象として店やサービスが増える。そして、さらに便利になって、単身者が増える・・・。という積み重ねなのでしょう。

単身者が重宝するのは、飲食店です。一人で入りやすい店が増えました。かつては、学生街の食堂と町の食堂でしたが、それらが少なくなり、ファストフード店が増えました。便利ですが、そのような店は、食事を楽しむというものではありません。
単身赴任したときに、雨の日曜の晩に一人で食べることは、わびしかったです。