日立製作所の雇用改革、その2

日立製作所の雇用改革」の続きです。

・・・入社年次にかかわらず、スキルや経験次第でポストや収入が決まる「ジョブ型」の雇用。一方で、課題もある。解雇されやすくなるのではないか、会社に対する忠誠心が失われるのではないか、といった点だ・・・

中畑専務
「従来の日本型雇用でも、事業が非常に厳しくなった場合には雇用を保てません。逆にジョブ型にしたほうが、ポジションが明確になって手を挙げられるし、チャンスを得られる制度だと説明しています」
「私の部下にはすでにジョブ型で働いている外国人が17人いますが、決まった仕事しかやらないなんていう社員は1人もいません。それこそ自分が成長するために仕事は広げます。従業員の意識調査でも、『日立で働くことに誇りを持っている』と回答したのは、海外が8割に対して日本は6割ぐらいなんです。ジョブ型で忠誠心が損なわれるというのは、理屈があるのかな、と」

日本型雇用のもとで働いてきたベテラン社員にとって、性急な改革は厳しいのではないだろうか。

中畑専務
「それはあると思います。私の世代はみな日本型雇用で育っていて、自分からキャリアを積んできた人はあまりいませんので。そういう人たちにも、例えばポジションごとにどういうスキルや経験が必要なのかを知らしめて次のステップやチャンスを渡す。そして、会社は教育を提供する」
「それでも手を挙げない人はいるかもしれません。結果として、いま部長だった人が係長になるかもしれません。会社として機会を与えたうえでの結果ならしかたがないとも言えます。逆に言えば、若い人にチャンスを与えることになります」
「ジョブ型への完全な転換には時間がかかると思います。理由の1つはやはり社員の意識が変わりにくいこと。もう1つは、日本全体で雇用の在り方が変わるのに時間がかかること。ただ日立の中は変えていけますから、4年後くらいには、『あの事業部のあの仕事をやりたい』と手を挙げ、異動し始めるようなイメージを持っています」

日経新聞「やさしい経済学」では、山田久・日本総合研究所副理事長の「日本型雇用、改革の行方」が始まっています。